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モハメド・アリ、その数奇な人生。
不遜で、派手で、誰よりも魅力的。

posted2016/06/16 07:00

 
モハメド・アリ、その数奇な人生。不遜で、派手で、誰よりも魅力的。<Number Web> photograph by Getty Images

5本の指を見せKOのラウンドを予告するモハメド・アリ。実際、この試合は5ラウンドでのKO勝利を収めた。

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渋谷淳

渋谷淳Jun Shibuya

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 ボクシングの元世界ヘビー級チャンピオン、モハメド・アリが6月3日、パーキンソン病との長い闘病の末、74歳で亡くなった。

 アリ死去のニュースは世界を駆け巡り、バラク・オバマ米大統領が声明を発し、世界中のスーパースターたちが哀悼の意を表明。追悼式が行われたアリの故郷、ケンタッキー州ルイビルには10万人以上のファンが詰めかけた。メディアは連日、このニュースを報道し続け、その多くは人種差別との闘い、反戦・平和、パーキンソン病、あるいは日本に限って言えばアントニオ猪木というキーワードで語られた。

 本コラム「拳坤一擲」はやはりボクサーとしてアリをいま一度振り返り、追悼としたい。

 アリは1942年1月17日、米中東部のケンタッキー州ルイビルに、カシアス・マーセラス・クレイ・ジュニアとして生を享けた。12歳のとき自転車を盗まれたのを機にボクシングを始めたのは有名な話。18歳で出場したローマ五輪ライトヘビー級で金メダルを獲得し、この年にプロデビューを果たした。

具志堅氏「相撲取りみたいに大きかったよ!」

 オリンピックの金メダリストがデビュー戦から注目されるのは今も昔も同じで、アリは周囲の期待を背負って連勝街道をひた走った。有名なキャッチフレーズ「蝶のように舞い、蜂のように刺す」は、付き人のバンディーニ・ブラウンの発案と言われているが、アリの全盛期のボクシングを表現するのに、これほど秀逸なキャッチフレーズはない。

 アリの死後、取材に応じた日本の“レジェンド”具志堅用高氏は次のように話した。

「ああいうボクシングをするヘビー級選手はそれまでいなかったよね。ジャブを突きながらリングを広く使ってね。華があったよなあ」

 ちなみにアリにあこがれた具志堅氏は、アントニオ猪木との“異種格闘技戦”のため来日してたアリが滞在していた新宿のホテルを訪れ“出待ち”をした経験がある。目の前を通り過ぎる姿を見た印象は「相撲取りみたいに大きかったよ!」だった。具志堅氏が世界の頂点に立つ少し前の話である。

【次ページ】 ボクシングよりも過激な発言で注目を浴びた時期も。

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