オリンピックPRESSBACK NUMBER

バレーの新システムはなぜ“今”か?
タブレットとチャレンジの問題点。 

text by

米虫紀子

米虫紀子Noriko Yonemushi

PROFILE

photograph byAFLO

posted2016/05/25 11:00

バレーの新システムはなぜ“今”か?タブレットとチャレンジの問題点。<Number Web> photograph by AFLO

試合の流れを切る、などの戦術的にも使えるチャレンジだが、現状はまだまだ粗いシステムと言わざるを得ない。

FIVBの事務局長は、改善の必要はないと断言。

 日本戦の後、キャテポン監督は冷静さを取り戻して語った。

「私は失礼なことはしていない。スコアラーの画面になぜ要求が表示されないのかと聞いただけでレッドカードが出された。私たちは毎試合スポーツマンシップを持って臨んでいますが、今日の試合は正しくない。でももう試合は終わってしまったので、結果を受け入れるしかない。ただ、このシステムは再検討してほしい」

 この3日後に開催された記者会見で、FIVBのフェルナンド・リマ事務局長は、「このチャレンジシステムはテニスで使われているものと同じですが、バレーはもっとチャレンジできる項目が多く、複雑です。また、新しいテクノロジーの一環として、ベンチからのリクエストをより明確に、素早く伝えることを狙ってタブレットを導入しました」と誇らしげに言った。

「今大会のレギュレーション(競技規則)はあらかじめ全チームに配っていたし、開幕前のプレリミナリーインクワイアリー(様々な手続きの確認の場)でも、『チャレンジシステムやタブレットについて質問はありますか?』と聞きました。すべてのチームにチャンスを与えたが、誰も聞いてこなかったし、練習したいと言ってきたチームもなかった。だから使えるのだと捉えた。しかし大会が始まると問題が出てきた。いくつかのチームが言っていることを聞くと、明らかにレギュレーションをちゃんと理解していないことがわかります。システムを改善する必要はありません」

 あくまでもFIVB側に不備はないと主張した。確かに正論だが、その会見からはチームへの配慮はまったく感じられなかった。

リオ五輪でもこのシステムは使われる。

 やはり大会前に、全チームに試合で使うタブレットを操作する機会を設けるべきだったのではないか。そもそも、なぜ“今”なのか。

 事務局長自身が「初めて車を運転した時のこと、1人で運転席に座った時のことを思い出してください。慣れるまでは難しいものです」と言ったように、新しいシステムを導入する時にはトラブルはつきものだ。それなのに五輪出場権のかかるこの大会を、なぜ初めての本格導入の場に選んだのか。

「リオでは、五輪で初めてこのシステムを導入します。このテクノロジーは絶対に必要。後戻りすることはない。FIVBは使い続けます」とフェルナンド事務局長は強調した。

 バレーはこんなに先進的なスポーツなんですよと、リオ五輪でアピールしたいために急いでいるのではないかと勘ぐりたくなる。彼らの目は、コートでプレーする選手や、観客の方をちゃんと向いているのだろうか。

関連コラム

<< BACK 2 3 4 NEXT >>
4/4ページ
関連キーワード
眞鍋政義
リオデジャネイロ五輪
オリンピック

ページトップ