“ユース教授”のサッカージャーナルBACK NUMBER
トゥーロンより水原JS杯に注目!?
U-19日本代表に世界と戦う経験を。
posted2016/05/18 07:00
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph by
Takahito Ando
世間では直前に迫ったリオデジャネイロ五輪、そしてそこに挑むU-23日本代表に注目が集まっているが、サッカー界において最も重要な年代は、その下の年代だと思っている。
U-17、U-20。この2つの世代で、FIFA主催のW杯が存在する。2年に1度行われる、この2つの年代別W杯こそ、真の「才能の品評会」であり、世界の若手選手たちが本気でしのぎを削る舞台だ。
だからこそ、筆者はリオ五輪代表(U-23日本代表)が戦うトゥーロン国際大会以上に、同じく今月18日から始まる韓国・水原JS杯(U-19日本代表)の重要性を説きたいと思っている。
一昨年の2014年、年代別W杯のアジア最終予選となるAFC U-16選手権とAFC U-19選手権で、日本は準々決勝で韓国、北朝鮮にそれぞれ敗れ、U-17W杯、U-20W杯の出場を逃している。
U-17世代こそ、近年はコンスタントにW杯に出場できているが、U-19世代は深刻で、実に4大会もW杯出場を逃している。最後の出場は2007年のカナダ大会で、槙野智章、柏木陽介、林彰洋、太田宏介、森重真人、香川真司らを擁し、ベスト16に進出した。
小野、高原、遠藤らが躍動したワールドユース準優勝。
そもそも日本にとって、U-20W杯(2005年以前は「ワールドユース」という名称)は「出ることが当たり前」の大会だった。
2007年までは7大会連続で出場し、1999年のナイジェリア大会では小野伸二、高原直泰、小笠原満男、中田浩二、稲本潤一、遠藤保仁らを擁し、準優勝を飾っている。この世代は「黄金世代」と呼ばれ、後に日韓W杯、ドイツW杯の主軸を成している。
だが、2007年以降はすべて、予選会であるAFC U-19選手権の準々決勝で敗れている。
2008年は香川(注・グループリーグ終了後に帰国)や柿谷曜一朗、2010年は酒井高徳や宇佐美貴史、2012年は久保裕也、2014年は南野拓実を擁しながらもだ。
この年代で、品評会としての側面も持つ世界の舞台に立てなかったことは、日本のサッカー界にとって大きな痛手である。彼らは本物の世界を経験しないまま、20歳を越えてしまった。香川や久保、南野のようにその後に世界に飛び立ってプレーをしている選手もいるが、多くの選手は国内に留まり、現在に至っている。