熱血指揮官の「湘南、かく戦えり」BACK NUMBER
連敗中だが、あえてメンタルを語る。
湘南・曹監督の日記に見える希望。
posted2016/04/13 15:00
text by
曹貴裁Cho Kwi-Jae
photograph by
Shonan Bellmare
本連載では、湘南ベルマーレを率いる曹貴裁監督が、試合に臨むまでの過程を記した前週の日記と実際の試合結果を受けての胸中を同時に紹介。
悩み、考え、決断する監督のリアルな声を毎週お届けします!
今週は、「今季未勝利で迎える甲府戦にどう臨むか?」がテーマです。
*本連載ではチョウ・キジェ監督の氏名表記方法につきまして、湘南ベルマーレとの協議により「曹貴裁」と統一いたします。
<第6節・甲府戦前週の監督日記>
●4月5日(火)
神戸戦から中3日でナビスコカップの大宮戦、そこからまた中3日でリーグの甲府戦が控える。神戸戦での敗北を引きずらずにこの2試合にいかに臨むか、そのためにどういうトレーニングを積み、またどういうトレーニングはしないという判断をするのか。1週間のデザインの緻密さがこれまで以上に必要となる。
この9日間で3試合を戦う中で、コンディションとの戦いに加え、選手のモチベーションの持続という難しさと対峙することになる。選手は、調子の良し悪しや「自分はまだ必要なレベルに達していない」ということを自分の基準、判断でわかっていれば、試合のメンバーに入れなかったとしても自分の中で消化しやすい。ただ自分としては調子が良い、「今のチームでこういう役割が果たせる」という試合出場への欲求が高まっている時にメンバーに選ばれないと、そこへのストレスへの対処というのは非常に難しい。
そういった選手の動向を見逃してしまっては指導者として失格だ。その点で昨日はリラックスメニューを盛り込み、体力のロスを抑えるという狙いと、今一度サッカーの楽しさを見つめ直そうという意図を持って練習に臨み、試合に絡めていない選手には意識的に声をかけるようにした。
声かけは3パターンあって、一つ目は「髪型変えたな」というような外見の変化を話すこと。二つ目は「できるようになってきたから続けていこう」というようにプレーに関して直接的に話すこと。三つ目はメッセージを伝えたい選手と仲の良い選手に伝える、つまり第三者を介して間接的にアプローチすること。「俺はお前のことを見ているよ」「お前は良くなっているよ」というメッセージを通して帰属意識を持たせることが狙いだが、これらをいつ、どんなふうに伝えるかというのが非常に大事だ。伝えるということは、受け取る相手がどう感じたかが一番大事。何も言わなくても選手が理解できる世界が望ましいけれど、それができないから映像を作るし、資料を作るし、話し合いをする。
メッセージを発信するという意味ではメンバー選考も同じ。いろんな意味で残りの2試合を勝っていけるメンバーを選ばなければならない。コンディション的に休ませた方がいい選手。逆に、今は調子も良くメンバーに入りたいという意欲もあるが、あえてその試合では選ばずに次の試合に臨ませる選手。その時々によって監督の選ぶメンバーにはメッセージがなければならないと思っている。そういった自分のメッセージ、個々に投げたボールがどれだけ選手の中に浸透しているかということにフォーカスして検証していきたい。