JリーグPRESSBACK NUMBER
NumberWeb版、2016年J1順位予想!
戦力的には3強状態、残留争いは?
posted2016/02/26 07:00
text by
Number編集部Sports Graphic Number
photograph by
J.LEAGUE PHOTOS
昨年も最後の最後まで順位が入れ替わる激しい展開で、
「世界で最も予想が難しい」という称号を再認識したJリーグ。
Numberが誇る3人のJリーグウォッチャーがその予想に挑みました!
●佐藤俊 スポーツライター
1位:ガンバ大阪
2位:サンフレッチェ広島
3位:浦和レッズ
4位:鹿島アントラーズ
5位:川崎フロンターレ
6位:FC東京
7位:サガン鳥栖
8位:横浜F・マリノス
9位:ヴィッセル神戸
10位:ジュビロ磐田
11位:ベガルタ仙台
12位:湘南ベルマーレ
13位:アルビレックス新潟
14位:名古屋グランパス
15位:大宮アルディージャ
16位:柏レイソル
17位:アビスパ福岡
18位:ヴァンフォーレ甲府
J1優勝を予想する上でポイントになるのが(1)分厚い戦力、(2)強いメンタル(モチベーション)、(3)経験値(優勝経験)、(4)継続性、(5)伸びしろ(チーム&個人)の5つの要素です。
それらを総合すると優勝を争う大本命は、ガンバ大阪とサンフレッチェ広島でしょう。
ガンバ大阪が昨年、リーグ戦、カップ戦、ACLを惜しいところで失ったのは、パトリック頼みで攻撃に変化とバリエーションが少なく、大事な試合に勝ち切れなかったからです。
その課題を解消するために獲得したのが、アデミウソンと藤本淳吾。元々能力が高い攻撃陣に彼らが完全にフィットした場合、チーム力の伸びしろは広島以上でしょう。井手口陽介ら若手が伸びてきていますし、「新スタジアムで優勝を」というモチベーションも高い。5つのポイントが満点に近いガンバが、優勝候補の筆頭です。
広島は昨年優勝を果たし、12月にCS、CWCなど8試合を戦った経験が活きており、チームの完成度が非常に高いです。
昨年73得点中21得点を挙げたドウグラスの穴が唯一の懸念でしたが、新外国人選手のピーター・ウタカが機能しそうですし、浅野拓磨ら若手も着実に成長しています。主力にケガ人が出て長期離脱などアクシデントがない限り、今年も優勝争いに絡んでくるのは確実。ただ完成度が高い分、伸びしろが気になるところ。連覇をするには、チーム力をもうワンランク上げる必要があるでしょう。
浦和はチャンス、FC東京は攻撃スタイルが鍵。
浦和は昨年、武藤雄樹、ズラタン、石原直樹ら攻撃陣を強化しましたが逆に失点が増え、賜杯を逃す要因になりました。その反省から今年は「守備の強化」をお題目に遠藤航、イリッチらを獲得。鉄板だった3バックにメスを入れたところにペトロヴィッチ監督の優勝への本気度がうかがえます。攻守にバランスが取れ、選手も「終盤失速のイメージを覆す」と優勝への気持ちが強いので、今年はそのチャンスが訪れそうです。
鹿島は昨年セカンドステージで活躍した金崎夢生の再加入が大きそう。また湘南でキャプテンだった永木亮太を獲得し、ボランチの次世代対策も講じています。強い鹿島のバロメーターである「粘り強さ」が出てきていますので、優勝するチャンスは十分あるでしょう。
FC東京は昨年、33失点の数字が示すように守備は機能しましたが、「ここぞ」という試合に勝てませんでした。城福浩監督の下、昨年の堅い守備を軸に攻撃的なスタイルとの融合がうまくいくと、昨年の4位から一気にトップに飛躍できる可能性があります。
川崎は例年失点の多さに泣いているため、今年は奈良竜樹、GKチョン・ソンリョンらを獲得し、守備の整備に力を入れました。それでも攻めて勝つスタイルに変化はありません。仮に失点が昨年程度(48点)でも、攻撃陣が奮起して2005年に優勝したガンバのように80点以上を取れば、相手を圧倒する攻撃的サッカーでの優勝が現実味を帯びてきます。
隠れ降格候補は横浜F・マリノス!?
今年、予想が難しいのが下位(残留争い)のチームです。5つの要素に当てはめて考えてみると、今シーズンJ1残留を争うことになるチームは甲府、福岡、柏、大宮、名古屋、新潟、湘南でしょうか。
甲府は、選手層が薄い上に攻撃の再構築が課題になりますので、昨年以上に厳しいシーズンになるでしょう。福岡は堅守ですが総合力で劣り、夏以降勝ち点をどのくらい伸ばせるかがカギになります。柏は守備の要だったGK菅野孝憲と鈴木大輔が移籍し、さらに昨年46得点中24点を稼いだクリスティアーノ、工藤壮人が抜けました。攻撃の再構築が急務でメンデス監督も日本初采配なので厳しい戦いになりそうです。大宮は家長昭博が軸ですが、それが強みであり、弱みにもなります。攻撃のバリエーションをいかに増やしていくかが生き残りのポイントになるでしょう。
名古屋は小倉隆史監督への期待感がありますが、チーム作りと結果が同時に求められるので序盤戦で苦しむと残留争いにつかまる可能性があります。新潟は昨年15位とギリギリでの残留でしたが、積極的な補強がありません。吉田達磨監督の手腕が試されるとはいえ、鈴木武蔵ら若手と日本人選手の奮起がないと厳しい秋になりそうです。湘南はGK秋元陽太、遠藤、永木、古林将太らレギュラー4人が抜けた穴をどれだけ埋められるか。
そして“隠れ降格候補”は横浜F・マリノス。アデミウソンをロスした影響は非常に大きく、FWが手薄なのでそこをどう補っていくか。
今シーズンは、戦力格差からトップグループと下位グループの2極分化が進行するような気がします。リーグ戦を盛り上げるためには下位グループが下剋上を起こすしかありません。ステージ優勝の勝ち点が30点程度になれば、混戦になります。
その一方で、昨年のファーストステージの浦和のように首位を快走するチームが出てくるかもしれません。単純に戦力補強だけでは読めないところがサッカーの面白いところですが、上位6チームを喰うチームがどのくらい出てくるか。その中で期待したいのが名波浩監督率いる磐田。昨年の湘南のような存在感を見せてほしいと思います。