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糸井、小谷野という「異次元」体験。
オリックス流、若手を伸ばす方法論。

posted2016/01/26 10:30

 
糸井、小谷野という「異次元」体験。オリックス流、若手を伸ばす方法論。<Number Web> photograph by Kyodo News

2013年12月の新人入団会見にて。上段中央が吉田雄人、その右に奥浪鏡、中段左が若月健矢。

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米虫紀子

米虫紀子Noriko Yonemushi

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Kyodo News

 昨年、オリックスでは19歳(当時)の捕手、若月健矢がシーズン後半に本格的に一軍デビューした。試合を重ねるごとに福良淳一監督の評価は上がり、正捕手争いに加わるまでになった。

 同級生の若月に負けじと、今年、一軍入りに向けガムシャラな20歳の2人がいる。プロ入り3年目を迎えた奥浪鏡と吉田雄人だ。

 昨年10月のほっともっと神戸でのこと。みやざきフェニックス・リーグから戻り、一軍メンバーの秋季練習に参加した2人は、練習メニューが書かれたホワイトボードを見ながら、「ヤバイ」「ヤバイ」と顔を引きつらせていた。

 奥浪は小谷野栄一と、吉田は糸井嘉男とペアになっていたからだ。

 昼食休憩を挟んでグラウンドに戻ってきた奥浪は、心臓のあたりを押さえながら、「緊張で胸がキューッとなって食べられなかった」と似合わないことを口にした。

 キャンプでも公式戦などでも、それまで一度も一軍に合流したことのなかった2人にとって、糸井や小谷野は雲の上の存在。緊張するのも無理はない。そうした機会が与えられたのは、2人に対する首脳陣の期待の表れだ。

「さらに上を見てほしいから」

 この組み合わせの発案者である北川博敏打撃コーチは、狙いをこう明かした。

「プラスになることが多いだろうから、なるべく近くで見させてやりたい。それに、プロで2年やってきて、ちょっと慣れてきている部分もあると思うから、そこで『一軍ってこんなものなんだ!』という危機感を持たせたいというのもあった。彼らが今まで思っていたものとはたぶん別世界の、本当に厳しい世界だから。若月も含め3人ともよくはなってきているから、ここで満足するんじゃなくさらに上を見てほしいんです」

 北川コーチは、糸井のバッティングを見る吉田にこうアドバイスした。

「ただホームランを見て『うわー』っていうんじゃなく、音を聞け。飛ぶ飛ばないは、そんなものお前は比べものにならないし、タイプが違うんだから。それよりも、当たる時の音を聞いて、そこに自分との違いを感じなきゃ」

【次ページ】 一軍はやっぱり“異次元”の体験。

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