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いまJリーグに足りないものは――。
信念貫く経営者といわきFCの挑戦。

posted2016/01/21 10:50

 
左から大倉智・いわきスポーツクラブ社長、安田秀一・ドーム社長、ピーター・ハウストラ監督。

左から大倉智・いわきスポーツクラブ社長、安田秀一・ドーム社長、ピーター・ハウストラ監督。

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日比野恭三

日比野恭三Kyozo Hibino

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IWAKI FC

 1月13日、有明コロシアムの一室で「株式会社いわきスポーツクラブ」の設立を発表する記者会見が行われた。同社は、2012年に設立されたサッカークラブ「いわきFC」(福島県社会人2部リーグ所属)を継承し運営にあたることになる。

 この日、有明コロシアムでは「アンダーアーマー」日本総代理店・株式会社ドームの「キックオフパーティー2016」が開催されていた。同じ場所で会見が開かれたのは、もちろん偶然などではない。いわきFCは、ドームの出資を受け、全面的なサポートのもとで新たな船出を迎えたのだ。

 ドームは昨年末、自前の物流センター「ドームいわきベース(DIB)」をいわき市内に建設し、今春から稼動させる。この施設だが、どうやら「物流センター」という旧来の概念には収まらないものであるらしい。

 投資総額は約100億円。稼動時には約300人の雇用を創出するといい、総面積37,800坪という広大な敷地にはサッカーグラウンドとクラブハウスも併設される予定だ。さらにサプリメント事業の知見を生かして「アスリートのために考えられた栄養バランスに優れたメニューを提供する」食堂まであるという。

 ここが、いわきFCの拠点となる。選手は当面アマチュアとなるため、午前中に併設の人工芝グラウンド(今夏完成予定)で練習した後、午後はDIBで仕事をする。当然、用具面でもドームから最新のプロダクトが提供され、県2部リーグ所属のクラブとしては破格とも言える環境が用意される。

「いわき市を東北一の都市にする」

 クラブの掲げるビジョンは壮大だ。

 曰く、「いわき市を東北一の都市にする」――。

 地方クラブの多くが「スポーツを通じた地域経済の活性化」を一つの目標に掲げているが、その実現は決して容易ではない。それどころか、クラブ自身の経営が危機に瀕しているケースも多い。人口ベースで見ても、35万人弱のいわき市を、100万都市の仙台市をしのぐ規模にまで導くというのはさすがに非現実的なプランに思える。

 それを「大言壮語」と一刀両断するのは簡単だが、今回のケースが特殊なのは「本気度」の一言に尽きるのかもしれない。

 一つは前述のとおり、ドームの豊富な資金力を後ろ盾とした異例とも言える環境の充実度だ。

【次ページ】 アカデミー無償化など、地域に貢献するクラブ経営。

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