オリンピックへの道BACK NUMBER
自信が無い所から始まった宮原知子。
自信を失ってしまった浅田真央。
posted2015/12/28 11:30
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph by
Enomoto Asami
練習、努力は裏切らない。
しばしば、聞く機会がある。その言葉がぴたりとあてはまる選手と言えるのではないか。全日本フィギュアスケート選手権大会で連覇を達成した宮原知子に、そう思う。
ショートプログラムの「ファイアーダンス」では、いつものようにシャープなジャンプをはじめ、スピン、ステップでも魅せ、「目標にしていた」という70点を超える73.24を出しトップに立つ。
「最初はちょっと硬かったと思います」と振り返るフリーは、冒頭の3連続ジャンプこそ回転不足があったが、あとはミスのない演技を見せた。余韻を残しつつ終えた宮原は、スタンディングオベーションに迎えられた。
フリーは139.59、総合得点は212.83で2位以下に大差をつけた。
以前は緊張で弱気になることもあった宮原。
練習熱心さはもともと定評がある。指導する濱田美栄コーチも常々認めるところだし、周囲の選手の言葉も裏付ける。
毎シーズン、こつこつと積み上げて、大崩れしない選手になっていった。昨シーズンから課題の1つとしてきた表現面でも成長を見せ、今シーズンはさらに場内を引き込む力を身につけてきた。
「ジャンプでミスがないと表現の方も気分よく、楽しくできると思うので、前よりは表現に気持ちを入れることができています」
宮原は言う。ジャンプなどでの精度の向上が、好循環となっている。
見過ごせないのは、「自信」の変化だ。
以前は、緊張しがちであると自身を語り、実際、試合前の緊張が演技に影響したこともよくあったという。
今は……緊張からくる弱気を打ち破り、今シーズンは時が深まるにつれ、ますます安定感を増してくるようになった。