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「特別な舞台」全日本選手権。
羽生、宇野、浅田――それぞれの胸中。

posted2016/01/07 12:05

 
286.36点で他を寄せ付けない優勝を決めるも、ミスが相次ぎ、“悔しい”全日本四連覇となった。

286.36点で他を寄せ付けない優勝を決めるも、ミスが相次ぎ、“悔しい”全日本四連覇となった。

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Number編集部Sports Graphic Number

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Asami Enomoto

 年の暮れも押し迫った12月末、フィギュアスケートの全日本選手権が開催された。

 男子・羽生結弦の4連覇、女子・宮原知子の2連覇という結果で幕を閉じた今大会については、Number893号でフィギュア取材の第一人者・野口美惠氏が「氷点下の熱き戦い」を徹底レポートしている。

 今回の会場となった札幌・真駒内セキスイハイムアイスアリーナは1970年竣工。1972年の札幌五輪のフィギュア会場として使用された、日本フィギュアの歴史が刻まれた由緒ある場所である。

 男女ともに史上最高といっていい盛り上がりを見せるフィギュア界。暖冬とはいえ雪が降りしきり空気も凍てつく中、入場開始前から多くのファンの姿が見られ、公式練習では観客の拍手が途切れることなく聞かれた。不思議な熱気に包まれた会場に身を置くと、全日本選手権はファンにとっても、特別な舞台であることがわかってくる。

 もちろん、選手にとっても「特別な舞台」である。

 試合前のインタビューでも、選手達は必ずといっていいほど「全日本選手権にはいつも、独特な雰囲気がある」と口にするのだ。

 ただ、今回の全日本選手権は、いつもとは異なる意味合いを持っていた。

勝ち負けとは違う部分での注目。

 4連覇を目指す羽生結弦がどんな演技を見せるか──。

 NHK杯、GPファイナルと2戦連続で世界最高点を更新した「絶対王者」にとって、優勝自体はもはや目標ですらなかった。

 どんな完璧な演技を見せ、どんな高得点を出すのか。世界最高点はどこまで伸びるのか──。勝ち負けとは違う部分での注目が集まっていた。

 ショート前日の囲み取材でも、記者から「得点に注目が集まっているが」と聞かれると、羽生はこう慎重に言葉を選んだ。

「意識がないわけではないです。ただ、全日本は全日本で違った緊張感があると思いますし。今の僕自身も全く違う心境でいると思う。明日からショートですけど、自分自身を観察しながら、自分をコントロール出来たらなという風に思います」

【次ページ】 「今までの試合とは違った精神状態でした」

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