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GIを2連勝したマイルは本当にベスト?
モーリスが秘める圧倒的なポテンシャル。
posted2015/11/24 11:20
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph by
Yuji Takahashi
5カ月半の休み明けも、外枠16番も何のその。11月22日に行われたマイルチャンピオンシップ(京都芝外回り1600m、3歳以上GI)を制したのは、ライアン・ムーアが騎乗した4番人気のモーリス(牡4歳、父スクリーンヒーロー、美浦・堀宣行厩舎)だった。
1000m通過59秒0というやや遅い流れのなか、モーリスは中団の外目に待機。持ったままで4コーナーを回り、直線、先行勢を豪快に抜き去った。勝ちタイムは1分32秒8。
「1000mを通過した時点で、あとは馬が本来の力を出せば勝てると思った。いい馬に乗せてもらい、期待に応えられて嬉しい」とムーア。
1馬身1/4差の2着は、2番人気のフィエロ。昨年につづいての銀メダルに、手綱をとったミルコ・デムーロも、管理する藤原英昭調教師も「勝った馬が強かった」とお手上げだった。
3着は、1番人気に支持されたイスラボニータ。ジャンプするようにゲートを出て、立ち遅れたのが最後まで響いた。
4着に3番人気のサトノアラジン、5着に5番人気のアルビアーノと、1番人気から5番人気までが順番を変えて掲示板に載った。
その意味ではまずまず順当な結果だったと言えるが、「サプライズ」があったとすれば、モーリスの規格外の強さではないか。
記録尽くめの「春秋マイル王」誕生。
同一年に安田記念とマイルチャンピオンシップを制覇し、堂々「春秋マイル王」の座についた。2007年のダイワメジャー以来、8年ぶり6頭目の快挙だ。8枠での勝利は'92年ダイタクヘリオス以来23年ぶり、上がり3ハロン33秒1は歴代優勝馬最速(3着のイスラボニータは33秒0とさらに速かった)と記録尽くめの栄冠であった。
予定していた毎日王冠を背腰の疲れのため使えなかったことにより、安田記念以来5カ月半ぶりの実戦となり、やや人気を落としていた。過去に安田記念からここに直行した馬は7頭いたが、勝った馬はいなかった。
これで、堀宣行厩舎に転厩してから5戦全勝。マイル界の「絶対王者」となった。