サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER
代表でPK失敗、レスターでは控え……。
岡崎慎司が飛躍のために歩む苦境。
posted2015/11/23 10:30
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph by
Takuya Sugiyama
岡崎慎司の立場が揺らいでいる。
日本代表の歴史のなかで岡崎の出場試合数は98で5位タイ、得点数は47で3位につける。29歳で、衰えを指摘される齢ではない。2008年9月に初めて日本代表に選ばれてから、怪我や所属チームの事情以外で、岡崎はメンバーから漏れたことがない。
「たとえハセベであろうとも、パフォーマンスが良くなければ外すぞ」
そのように語るハリルホジッチ監督ならば、代表のユニフォームを身につけ、圧倒的なキャリアを積んできたストライカーをメンバーから外す可能性だってある。
では、岡崎のサッカー人生最大の危機なのだろうか。
そんな扇情的な言葉は似つかわしくない。悲壮感も漂ってはいない。悲壮感が漂わないのは、何も彼のキャラクターゆえでもない。
岡崎のこれまで歩んできた道と、彼の確固たる意志と考えがあるからこそ、今は彼のサッカー人生のターニングポイントにあると断言できる。
カンボジア戦で巻いたキャプテンマーク。
今の岡崎の進んでいる道にはスリリングな要素もあるが、希望の光も確かに見えている。
11月17日、カンボジアとの試合前のウォーミングアップの際に、岡崎は長谷部誠とともに先頭に立ってピッチに足を踏み入れた。
2012年5月23日に行なわれたアゼルバイジャン戦で、後半29分からキャプテンマークを巻いたことはあるが、キャプテンマークを巻いて君が代を聴くのはこれが初めてのことだった。長谷部だけではなく、長谷部が不在のときにキャプテンマークを巻くことの多い本田圭佑も、カンボジア戦ではスタメンから外れていた。
カンボジア戦の前日、岡崎はハリルホジッチ監督からキャプテンマークを託された。ただ、特別に多くの言葉をかけられたわけではない。
「何も言われなくても、自分は(キャプテンマークを巻く人間に必要なことを)くみ取ってやっていました」