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ソフトバンク「三軍」出身者たちの矜持。
トライアウトで見せた“再生工場”の力。 

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田口元義

田口元義Genki Taguchi

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photograph byGenki Taguchi

posted2015/11/11 11:50

ソフトバンク「三軍」出身者たちの矜持。トライアウトで見せた“再生工場”の力。<Number Web> photograph by Genki Taguchi

トライアウトが、チームのユニフォームを着る最後の機会になる選手もいるだろう。

NPBが一番だが、アメリカも視野に。

 今季の登板は三軍のみ。9試合、5回1/3を投げ防御率23.63と不甲斐ない成績に終わった。トライアウトでもバックネットに直撃する大暴投など制球が定まらず1四球、1安打。事実を受け入れながら、最速が146キロと生命線をアピールできたことに前を向く。

「トライアウトではこういう結果に終わりましたけど、体は元気だし状態もベストに戻りつつあると感じています。だから、『もっとできるんじゃないか』って」

 北方の「ベスト」とは、唐津商3年夏の甲子園でマークした153キロであり、DeNA2年目に参加した台湾でのウインターリーグで、自己最速の158キロをマークした投球だ。

 ソフトバンクでの再生は叶わなかったとはいっても、今後の野球人生への志は高い。

「もちろんNPBでは続けたいですけど、文化の違いとかも体験してみたいんでアメリカの独立とか海外でもやってみたい。やるなら高いレベルで野球をしたいですね」

 トライアウトに参加したソフトバンクの選手は皆、北方のようにハイレベルの戦いに飢えていたことが印象的だった。

 白根は支配下選手に強いこだわりを示し、日高も古巣同士の日本シリーズに触れ「自分もあの場所で投げたい」と意欲を燃やした。何より、独立リーグから這い上がってきた苦労人、中村の言葉がその全てを物語っていた。

「プロに入る前から、入ってからも這いつくばってやってきました。だからもう、NPBから下は考えられません」

 絶対王者ソフトバンク。強さの根幹をトライアウトで見た。

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