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スケートカナダ制したワグナーの貫禄。
初挑戦3位・永井優香は会見も英語で。

posted2015/11/04 11:15

 
スケートカナダ制したワグナーの貫禄。初挑戦3位・永井優香は会見も英語で。<Number Web> photograph by Yusuke Nakanishi/AFLO SPORT

左からトゥクタミシェワ、ワグナー、永井。GPシリーズ初出場での表彰台は浅田真央、安藤美姫、村上佳菜子らに続く快挙となった。

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田村明子

田村明子Akiko Tamura

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Yusuke Nakanishi/AFLO SPORT

 スケートカナダの女子では、24歳のアシュリー・ワグナーがSP、フリーともにほぼノーミスで滑りきり、貫禄のある演技で優勝を果たした。2位はSP7位から挽回した世界チャンピオンのエリザベータ・トゥクタミシェワ。3位はシニアGPデビューで堂々とした演技を見せた16歳の永井優香。村上佳菜子は惜しいところで4位だった。

初の200点越えとなったA・ワグナー。

 ラテンナンバーを使ったSP後、70.73の高いスコアが出るとワグナーはキスアンドクライで艶やかに微笑んだ。これほど嬉しそうな彼女の顔を見るのは、久しぶりである。これまで何度も回転不足を取られてきた3フリップ+3トウループをきれいに回りきり、自己ベストスコアを更新して初の70点越えを果たした。

 『ムーランルージュ』のフリーでは、7つ降りた3回転のうち2つが回転不足になったものの、流れの途切れないベテランらしい演技で総合202.52と、国際試合で初の200点越えを果たした。

「今シーズンやり遂げたいことを考えたとき、技術的な改善が必要だと思いました。全種類のジャンプをひとつひとつ見直していって、磨いていったんです」というワグナー。

 彼女が16歳でシニアデビューをした当時は、カロライン・ザンと長洲未来という抜きん出た才能のティーネイジャーが2人いた。その2人に注目が集まっていた中で、将来ワグナーがここまでの選手に育つと予想した関係者は少なかったと思う。だが彼女のひたむきな努力が、ワグナーを息の長いトップ選手に育て上げたのだ。

コーチは「いずれはマオのような選手に」と。

 コーチのラファエル・アルトゥニアンはこう語った。

「アシュリーの技術の矯正に3年かかった。彼女はこれまで、きちんとした計画的な練習を積む習慣がなかったけれど、ようやくそれが身に着いてきたと思う」

 これまでミシェル・クワン、浅田真央らを指導したこともあるベテランコーチのアルトゥニアンはこう続けた。

「アシュリーの最大の長所は、ファイターであること。かつてのミシェル(クワン)、そしてマオ・アサダのように、アシュリーもどれほど若い才能が出てこようとも、別格の存在感を持つ選手に育てたいと思っています」

【次ページ】 フリーで挽回して総合2位、E・トゥクタミシェワ。

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