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選手会が高騰する移籍金制度にNO!
「外側」で利益を手にする者とは?

posted2015/10/03 10:30

 
選手会が高騰する移籍金制度にNO!「外側」で利益を手にする者とは?<Number Web> photograph by Getty Images

モナコから来たアントニー・マルシャルはもちろん有望な選手だが、69億円という移籍金には驚きの声があがっている。

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井川洋一

井川洋一Yoichi Igawa

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「(アントニー・マルシャルの移籍金は)途方もない額だ。しかし、これが我々の属す狂った世界なのだ」

 マンチェスター・ユナイテッドのルイス・ファンハール監督は、マルシャルの獲得に自らのクラブが費やした移籍金について、そう語った。今夏の移籍期限最終日、ユナイテッドはモナコに3600万ポンド(約69億円)を支払うことで合意し(今後の活躍次第では最大で5880万ポンドまで増額される)、まだ何も成し遂げていない19歳のフランス代表は史上最高額のティーンエイジャーとなり、物議を醸していた。

 クレイジーな現代サッカー界──。それはこのオランダ人指揮官だけの意見ではない。

 だが、そんな「狂った世界」がついに終わりを迎えるかもしれない。

選手会がつきつけた5つの改善条項。

 9月18日、欧州、南米、アジアなどの多くの国の選手が所属するFIFPro(国際プロサッカー選手会)はFIFAを相手取り、現状の移籍システムの変革を求めてブリュッセルにある欧州委員会の競争担当委員に訴状を提出した。競争担当委員はEU内の整合性のある競争を確立する機関で、独占禁止法を施行するほか、大企業や巨大団体、国家などによる市場に対する圧力を規制する役目を負っている。

 彼らの要求は、大きく5つ。(1)移籍金の撤廃、(2)レンタル移籍制度の廃止、(3)選手数の上限の設定、(4)代理人への報酬の制限、(5)契約期間の上限の設定、である。

「FIFProだけでなく、プロサッカー界全体にとって、歴史的な瞬間となる」と同組合のテオ・ファンセヘレン事務局長は記者会見で話した。そして「(現状の)移籍システムがなくなっても、恐れる必要はない。より良い労働市場が確立されるだけだ」とその正当性を強調した。

 彼らの主張はこうだ。'95年のボスマン判決と'01年の(移籍に関する)FIFAルール制定は、本来EUの労働法で定められている労働者の自由と権利を保護するためのものだった。しかし現在ではそのルールは曲解され、選手だけでなく、クラブやファンにも移籍システムが不利益をもたらしている。

「この問題の解決に向けて、FIFAとUEFAに掛け合ってきたが、彼らは何の策も示さなかった」と65カ国・約6万5000人の選手の代表者は続ける。「今こそ、変革が必要だ。我々はサッカーの未来を守る」

【次ページ】 サッカー選手もまた、労働者である。

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