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ついに連敗をストップさせた西武。
'07年の苦境知る中村剛也らの威厳。

posted2015/08/06 12:10

 
ついに連敗をストップさせた西武。'07年の苦境知る中村剛也らの威厳。<Number Web> photograph by NIKKAN SPORTS

この試合、ショートゴロでも全力で一塁へダッシュすることで、見事に安打をもぎ取っていた中村。勝負に対する意地を、若手に見せつけていた。

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永田遼太郎

永田遼太郎Ryotaro Nagata

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NIKKAN SPORTS

 いったいどこまで続くんだろうと気が遠くなるくらい、埼玉西武の連敗は記録的に続いた。

 両リーグ1番乗りの30号本塁打を放った中村剛也の新聞記事を読んでいたときも「どうでもいい」と書いてあった彼のコメントの意図を、記録的な連敗についてのことなのか、両リーグ1番乗りの30号の記録についてのことなのか分からずに、2度読み、3度読みとしてしまうくらい、本当に長く、長く続いた。

 36年ぶりに球団ワーストを更新する「13連敗」。

 8月5日の東北楽天戦(コボスタ)では、これまでの連敗が嘘のような快勝で、不名誉な記録にストップをかけた。お立ち台に上がった先発の菊池雄星が溜息交じりに「いやーもう長くて……勝てずに……悔しい日が続いたんですけど、やっと勝ってホッとしています」とコメントする。この期間の埼玉西武の負けの数々は、「36年ぶり」という記録が示すとおり、ファンにとっては信じ難いチームの姿だった。

連敗ではあるが、僅差の負けが半数以上だった西武。

 中村剛也が大谷翔平から2本の本塁打を放ち、序盤の5失点を挽回してみせた7月24日の北海道日本ハム戦も、ここから流れが変わるだろうと思った矢先にレアードの一発が飛び出して、終わってみれば6-13の大敗。

 8月1日の福岡ソフトバンク戦では1-2と1点リードされた9回裏に、先頭の浅村栄斗が投手強襲安打で出塁するも、誰もが犠打かと思ったタイミングで単独スチールを決行して失敗するなど「ダメージ」が残る敗戦が続いた。

「ちょっと投打が噛み合っていない。野手が打ってくれても投手が崩れてしまうし、逆に投手が抑えても野手の援護がない。そうした巡りあわせが、今は悪いのかなって思いますね」

 この日の試合後、選手会長の牧田和久はチームの現状について淡々と語ったが、13連敗中、1点差負けが4試合、2点差負けが4試合と僅差の負けが半数以上と、派手な連敗数のわりに内容で押されたゲームは意外に少なかった。牧田の言う「巡り合わせ」もこんなところから来ているのだろう。

【次ページ】 2007年当時と、あまりにも似ている今の西武。

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