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日本人ボクサー株急騰は“ユーチューブ”のお蔭?
~井上尚弥も「モンスター」扱い~ 

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前田衷

前田衷Makoto Maeda

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posted2015/07/26 10:30

日本人ボクサー株急騰は“ユーチューブ”のお蔭?~井上尚弥も「モンスター」扱い~<Number Web> photograph by AFLO

5月に山中(右)が日本人では異例となるトップ10入りを果たすと、翌月には内山も続いた。

 遅まきながら、いまユーチューブにハマっている。1960~'70年代を中心に当時は見ることのできなかったボクシングの名勝負を次から次へと観戦するのだが、結果が分かっていても、ついつい時間を忘れるほどのめり込んで見てしまう。原稿の締め切り前にこれを見始めると、自分で自分の首を絞めることになる。改めて、便利な世の中になったと痛感しないわけにはいかない。

 先頃ボクシング殿堂入りを果たした具志堅用高は、現役時代13度王座防衛の記録を樹立したが、この中で強敵、難敵と見られた対戦相手には比較的好試合を演じたものの、時にランキング下位の挑戦者に苦戦することがあった。その理由は、「無名の相手ほど、試合のビデオが手に入りにくく、戦いづらかったから」と関係者から聞いた。まさに「敵を知り、己を知らば、百戦危うからず」である。

 今はこうした情報戦も激変し、ユーチューブというツールを利用して、もっと簡単に試合映像を手に入れることができるようになった。パソコンを操り、相手の映像を検索し、研究する選手が珍しくない。対戦相手の情報を得やすくなった反面、当然自分のボクシングも相手に研究されると覚悟しなくてはならないが、それでこそ条件は五分。誰も言わないが、ユーチューブはボクシングにも革命をもたらしているのではないかと確信する。

スペイン語映像でアップされた「モンスター井上尚弥」。

 これまで日本のチャンピオンたちはとかく「国内でしか戦わない」がゆえに海外で評価が低かったが、ユーチューブがそのバリアを取り除いてくれた。昨年暮れに井上尚弥が名王者オマール・ナルバエスを倒した試合は、直後にスペイン語バージョンの衝撃映像がユーチューブにアップされ「モンスター井上」は世界のボクシングファン、関係者の間で瞬く間に有名人になった。

 いま米国の老舗専門誌「リング」のパウンド・フォー・パウンド(PFP)ランキングでは、1位のメイウェザー以下世界のスーパー王者に連なり、9位に山中慎介、10位に内山高志が抜擢されている。以前ならこの種のランキングに日本人ボクサーが入るなど考えられないことだったが、これもインターネットがもたらした恩恵といえそうだ。今後はPFPランキング入りどころか、殿堂入りを果たす選手も増える――と期待しておこう。

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