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急増する親子ボクサー。2世たちの奮闘に注目。
~辰吉、畑中、平仲……闘う遺伝子~ 

text by

前田衷

前田衷Makoto Maeda

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photograph byKYODO

posted2015/06/28 10:30

急増する親子ボクサー。2世たちの奮闘に注目。~辰吉、畑中、平仲……闘う遺伝子~<Number Web> photograph by KYODO

4月16日のデビュー戦に勝利した辰吉寿以輝(左)と父・辰吉丈一郎。7月20日に2戦目に挑む。

 辰吉丈一郎の次男・寿以輝のプロデビューに、テレビやスポーツ紙は世界戦並みの大々的な報道を展開した。これも父親の知名度のおかげだが、プレッシャーに耐えられるのかとの心配は無用。明るい性格で騒がれてもケロリとしていられるふてぶてしさが、ジョーから受け継いだ一番の才能かもしれない。新人離れした左フックの威力も父親譲りだ。

 このところチャンピオンの息子がボクサーの道に進むケースが相次いでいる。田中恒成を5戦目で世界王座に就かせた畑中清詞さん(元WBC世界スーパーバンタム級王者)も、息子の建人は現在中京高校2年生でアマチュアのリングに立っている。「沖縄から世界へ」のスローガンを達成した平仲信明さん(元WBA世界スーパーライト級王者)の長男・信裕も芦屋大学1年生ながら貴重なポイントゲッターとして、関西学生リーグ戦1部初優勝に向けて奮闘中だ。

 他にもカシアス内藤こと内藤純一さん(元東洋ミドル級王者)の息子・律樹は日本スーパーフェザー級王者として地位を築き、早くも世界挑戦が噂されている。元東洋太平洋スーパーバンタム級王者・仲里繁さんの息子・周磨は新人王レースを順当に勝ち進み、5階級で日本王座獲得の記録を樹立した湯場忠志さんの息子・海樹は高校ボクシングの強豪・日章学園(宮崎)の2年生。今年2月に湯場さんが引退するまで、短期間だが親子で現役のボクサーという極めて珍しい経験もした。

輪島功一の息子が31歳でプロになった理由とは?

 チャンピオンの息子だからといって、父親の才能を受け継いでいるとは限らない。親子で世界王者になったのは、長いボクシングの歴史の中でも、スピンクス親子ら僅か5例しかいないことからもそれは明らかである。

 あの輪島功一さんの息子・大千(ひろかず)は31歳で父に命じられプロになったが、8戦でリングを去り、今はトレーナーとして父親の営む輪島ジムを手助けしている。

「ボクサーに向いていないのは最初から分かっていた。でも、きっと実戦の経験が役に立つはず。ボクシングの辛さも素晴らしさも知ったんだからね」と輪島会長は満足そうに語る。息子が将来ジムを継いで選手を指導する時、ボクサー経験があったほうがいい。これも現役時に何度も死闘を経験し、修羅場を潜り抜けてきた人ならではの親心にちがいない。

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