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なでしこ、オランダの猛攻を凌ぎ8強。
連覇に光明がさした、先制点の形。
posted2015/06/24 17:00
text by
栗原正夫Masao Kurihara
photograph by
AFLO
カナダ女子サッカーW杯は現地時間23日に決勝トーナメント1回戦最後の1試合が行われ、日本代表「なでしこジャパン」(FIFAランク4位)が2-1とオランダ(同12位)に勝利し、ベスト8進出を決めた。
グループリーグの3試合をいずれも1点差で勝ち切ったものの、どこかスッキリしない戦いぶりに終始したなでしこ。格下と見られる相手に思うような攻撃が仕掛けられずに、一発勝負となる決勝トーナメントを前に不安は募った。
一方対戦相手のオランダは、地元カナダ、中国、ニュージーランドと同居したグループリーグを1勝1分け1敗の3位で通過したものの、第3戦のカナダ戦は終盤87分に同点に追いつき、弾みをつけて勝ち上がってきた。
初出場とはいえ、「前線には個性のあるアタッカーがそろっている。モダンなサッカーをする印象がある」とは佐々木則夫監督の戦前のオランダ評。フィールドプレーヤーの平均身長も日本を約7センチ上回る170センチと、なでしこにとっては過去2戦2勝の相性の良さがあったとしても、決して楽観視できない相手と思われた。
引いたオランダに対して、ショートパスが刺さる。
ただ蓋を開けてみれば、引いてブロックを固めてカウンターをねらいにくるオランダに対し、なでしこらしいショートパスを回すサッカーがハマったといえる。
そんななか開始10分に生まれた有吉佐織の先制ゴールは、時間帯といいカタチといい理想的だった。左サイドで宮間あやが大野忍とのワンツーで縦に抜けると、左クロスに中央で大儀見優季がヘッド。シュートは惜しくもクロスバーに嫌われたが、そこに右SBの有吉が詰めていた。サイドからの展開に、中央に複数の選手が走り込む。グループリーグでの3試合では見られなかった攻撃の形で、オランダの守備を完全に切り崩した。
その後も20分には阪口夢穂の右への展開を川澄奈穂美がダイレクトで中央へ送ると、走り込んだ宮間がシュートを放ったほか、22分にも大野とのワンツーで抜けた鮫島彩が左足を振り抜くなど、得点にこそつながらなかったものの、オランダにプレッシャーを与え続けた。