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敵失でモナコGP3連覇。ロズベルグの「レース運」。
~セナ、プロストらに並ぶ偉業の綾~ 

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今宮純

今宮純Jun Imamiya

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posted2015/06/04 10:00

敵失でモナコGP3連覇。ロズベルグの「レース運」。~セナ、プロストらに並ぶ偉業の綾~<Number Web> photograph by AFLO

レース後、「チームを責めはしない」と語るハミルトンだったが表彰台では失意を隠せず。

 モナコGPに連勝するには「レース運」も必要だ――。終盤64周目まで独走するハミルトンに25.727秒差をつけられていた2位ロズベルグは、チームメイトを攻めるのではなく背後に迫る3位ベッテルから身を守るのに懸命だった。ミスを犯さぬよう、狭い公道コースの幅ぎりぎりまでは使わず、タイムペースを安定させる走りに切り替えていた。

 事態急変のきっかけは63周目、10位を争っていたグロージャンと新人フェルスタッペンが1コーナーで接触大事故。今年採用された新ルール、“バーチャル・セーフティーカー”(先導車がいない状態で全車低速走行)がいったん適用された直後に従来のセーフティーカー先導に切り替えられた。

メルセデスのピット戦略が望外な逆転劇の発端に。

 するとメルセデス・チームが動いた。ハミルトンは“25.727秒”の大量リード。ここで2回目のピットインをしても1位のまま戻れる(はずだ)。既に27周走行したタイヤから新たなスーパーソフトへの交換を決断し、65周目に入れと急な無線指示を下す。だがそのときハミルトンはセーフティーカーに従い最終コーナー近くまで低速走行状態で、実はリードタイムが数秒目減りしていた。戦況を把握すべきピット側はそれに気付かず、まだ充分なリードとみていた。ピットクルーたちの作業がふだんより約1秒スローな4秒1だったのも、焦らず確実に作業することを優先したからだろう。ドライバーもメカニックも戦略担当エンジニアが下した判断に従ったまでだ。

 ピットを離れるハミルトンの前にはほぼ同時にピットインしたザウバー1台がいた。これもわずかだが影響した。そして1コーナー先でコースに戻ったとき、先頭1位はロズベルグ、2位はベッテル、ハミルトンは僅かに後ろだった。結果論になるが3秒台でピット作業を終えていたら、“戦略担当エンジニア”の判断ミスも惜敗とならずに済んだはずだった。

 望外と言うべき大逆転。コース上でチームメイトを抜くこともなく、'13年からのモナコGP3連勝を授かったロズベルグ。ヒル('65年)、プロスト('86年)、セナ('91年)に続く3連勝達成に「レース運」というものをあらためて感じた。敗れたハミルトンに表彰セレモニーでスタンドから拍手と歓声が上がった第73回モナコGP。幸運と悲運の幕切れだった。

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