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横綱に関脇・照ノ富士も。伊勢ヶ濱部屋の強さの秘密。
~効率と団結が生む「当たり前」~ 

text by

佐藤祥子

佐藤祥子Shoko Sato

PROFILE

photograph byKYODO

posted2015/05/14 10:30

横綱・日馬富士と関脇の照ノ富士ら5名の幕内力士が切磋琢磨する。

横綱・日馬富士と関脇の照ノ富士ら5名の幕内力士が切磋琢磨する。

 先の3月場所、浪花の相撲ファンを沸かせたのは、新関脇として13勝を挙げ、白鵬と優勝争いを繰り広げた照ノ富士の存在だった。2011年初場所に角界の門を叩いた照ノ富士(当時若三勝)が、かつて在籍した間垣部屋は、力士数がたったの4人。師匠は病身で、稽古場での指導はままならず、モンゴルの大器は力を持て余すほかなかった。そんななか、'13年に転機が訪れた。伊勢ヶ濱部屋に部屋が吸収合併され、移籍。照ノ富士自身も、「たくさんのいい稽古相手に恵まれた」というように、この年の9月場所で新十両に、翌年3月には幕内昇進を果たす。

 伊勢ヶ濱部屋のメンバーは多士済々だ。横綱日馬富士を筆頭に、叩き上げのベテラン業師の安美錦、近大相撲部出身で「左四つになったら無敵」と怖れられる宝富士。時に稽古場では横綱を凌ぐほどのスピード相撲を見せる誉富士――。今年3月には、新たに朝日山部屋を吸収合併し、切磋琢磨する力士は28名を数える。師匠である元横綱旭富士の伊勢ヶ濱親方は、こともなげにいう。

「そりゃあ力士数が多いほうが稽古場も活気が出るよね。うちの部屋の強さの秘密? 何も特別なことをしているわけじゃない。ただ、稽古するしかないんだから」

稽古は朝8時開始、それでもメリハリを大事に。

 伊勢ヶ濱部屋の稽古は、独特だ。多くの部屋では早朝5時、6時に番付下位の力士から順番に稽古場に降りるなか、“伊勢ヶ濱流”は朝8時から。睡眠も大切にし、全員が一堂に会して稽古が始まる。

「だから12時過ぎまでやることになるけれど、稽古はメリハリが大事。10時に切り上げることもある。“今日はこれ以上やっても身にならない”と、見極めてね」

 現役時代、“津軽なまこ”と称された元横綱が、朴訥で穏やかな口ぶりでそういうと、部屋をよく知る相撲担当記者がつぶやく。

「日馬富士に対しても、有無を言わせず稽古をさせる威厳がある。やはりそこは“元横綱”ですよ」

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