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ワンチャンスを掴んだ照ノ富士の実力と今後。
~初優勝&大関昇進の決め手とは~ 

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佐藤祥子

佐藤祥子Shoko Sato

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photograph byKYODO

posted2015/06/05 10:00

ワンチャンスを掴んだ照ノ富士の実力と今後。~初優勝&大関昇進の決め手とは~<Number Web> photograph by KYODO

優勝パレードでは、伊勢ヶ濱部屋兄弟子の横綱・日馬富士(左)が自ら旗手を買って出た。

 大草原の国モンゴルが、5人目の大関を生んだ。「今年じゅうに大関になるのが目標でしたから。平成生まれ初の大関になりたかった」と、有言実行した23歳の照ノ富士は、初々しい笑みを浮かべながら語った。

 振り返れば、今年1月場所では前頭2枚目の地位で8勝7敗。三役陣が総じて負け越したゆえ、翌3月場所では小結を飛び越えて新関脇に昇進する番付運に恵まれた。そして白鵬と優勝争いを繰り広げての13勝で、一気にその名を轟かせる。怪物と異名を取る逸ノ城が足踏みをするなか、大関候補筆頭に躍り出た先の5月場所。千秋楽に兄弟子である日馬富士が白鵬を下して援護射撃し、“やんちゃな弟弟子”は12勝3敗の成績で初優勝を決めた。あれよあれよという間に、ワンチャンスで大関昇進をものにしたのだ。

大柄な体躯を生かした「残り腰」に、攻めの速さも。

 191cm、182kgの体躯で、特筆すべき武器は、その「残り腰」。先手を取られて攻め込まれてもガッチリと組み止め、重い腰で残して反撃するのだが、裏を返せば攻めが遅いのが難点でもあった。対逸ノ城戦では、がっぷり四つに組み、2場所連続の水入り大相撲を見せたほどだったが、5月場所での対戦では、わずか7秒7、豪快な上手投げで敵を仕留めた。千秋楽、巨漢の碧山戦でも会心の相撲を見せ、「いつもだったら受けて取ってるけれど、前に出てましたね。自分ではよく覚えてないんですけど」と、満足げに振り返る。欠点を克服すべく、「前へ、前へ」と意識しての稽古の積み重ねが、成果を現しつつあるようだ。

 朝青龍、白鵬、日馬富士、鶴竜の4人の先達は、みな横綱へと駈け上がった。照ノ富士に対しても、「今年じゅうに横綱昇進の可能性がある」とみる向きは多い。気鋭の後輩を前に、史上初の“2度目の7連覇”を逃した白鵬も、「もう少し細かい相撲を覚えれば、もうひとつ上(横綱)も近いのではないか」と照ノ富士の近未来を予想している。

 平成生まれ初の優勝力士ともなった照ノ富士。初優勝パレードに沸く国技館前、旗手の日馬富士とともに手を振って応えるその姿に、ある親方がつぶやいた。

「3年後の相撲界は、横綱は総入れ替えされていて、きっと照ノ富士の時代になっているはずだよ」

 平成の“大相撲新時代”の幕開けだ。

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