野球クロスロードBACK NUMBER
番長・三浦大輔、昂ぶりと冷静の間。
23年連続勝利はDeNA優勝の序章か。
text by
田口元義Genki Taguchi
photograph byNIKKAN SPORTS
posted2015/05/12 10:30
昨年からDeNAで投手兼任コーチも務める三浦大輔。しかし、まだまだ現役投手として、エースとしての座を譲るつもりはない。
中畑監督「今日は大輔に勝ちをつけられたのが一番!」
そうは言っても、常にチームと自身の勝利に飢えている三浦である。いくら最低限のパフォーマンスができたからといって、それだけで満足するような男ではない。
「頼む……」
6回裏。ベンチでそう祈る三浦に打線が応えた。高城のタイムリーなどで3点を奪い逆転したのだ。
5-4で接戦をものにし、巨人が敗れたことで単独首位に立つ。鮮やかな勝利に対し中畑清監督は、試合後には真っ先に三浦の粘投を称えた。
「大輔にとって大事な試合だったからね。勝ちたい気持ちがすごく伝わった。大輔が投げる時って本当に点が取れないんだけど、降板した後に逆転してくれてね。彼の気合が野手に乗り移ったような気がした。逆境をはねのけてくれた。今日は大輔に勝ちをつけられたのが一番! ナイスゲーム!!」
「23年……長いような短いような」
三浦にとっては、23年連続勝利というメモリアルゲーム。ただ本人は、記録よりもチームの勝利を喜んでいた。
「23年……長いような短いような。振り返れば長いんだろうけど、それは1年、1年の積み重ねですから。それよりも今日勝てたことが嬉しい。試合をひっくり返されてもみんなが打ってくれてね。スタンドのファンからの後押しももちろんですけど、みんなに勝たせてもらいました」
そう言うと三浦は、続けて感慨深げに自らの想いを口にする。
「こういう場所で投げたかった。今のチームに早く入りたかった」
41歳。薹が立ったと言われてもおかしくない年齢である。パフォーマンスや身体能力だって飛躍的に伸びるわけでもないだろう。
だが、二軍にいる間も三浦は三浦であり続けた。「二軍にいる期間はどんな調整をしてきたか?」といった報道陣からの質問に対しても、「なにも変わったことはやっていないですよ」とさらりと受け答えしていたほどである。