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黒田博樹が激怒した本当の理由とは。
内角球には「自覚と技術」が必要だ。 

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鷲田康

鷲田康Yasushi Washida

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photograph byNIKKAN SPORTS

posted2015/05/01 10:30

黒田博樹が激怒した本当の理由とは。内角球には「自覚と技術」が必要だ。<Number Web> photograph by NIKKAN SPORTS

黒田博樹の日本復帰のお祭り騒ぎは一段落した。しかし今回の内角騒動は、彼の存在から日本球界が学ぶべきものが無数にあるということを再確認させてくれる事件だったのではないだろうか。

 黒田はなぜ、あんなに怒ったのだろうか……。

 4月25日の広島対阪神戦での乱闘寸前になった騒ぎだ。

 2回裏1死一塁。バントの構えをする打席の広島・黒田博樹投手に対して、マウンドの阪神・藤浪晋太郎投手の内角ストレートがシュート回転して胸元付近を襲った。のけぞってかわした黒田は、一瞬、マウンドの藤浪に鋭い視線を送った。ただ、すぐに自分の気持ちを静め、三塁ベースコーチのサインを見るように視線の方向を変えた。

 そうしてもう1度、打席に入り直した次の球だ。

 同じように送りバントの構えを見せた黒田の胸元目がけて、またしても藤浪の投じた真っ直ぐが向かってきたのである。

 黒田は今度は体を回転させて尻モチをついてかわした。投球と同時にマウンドを駆け下りてきた藤浪に注がれた黒田の視線には、明らかに怒りが宿っていた。

「オラッ!」

 こう叫ぶとバットを持ったまま藤浪に歩み寄る。藤浪が慌てて帽子をとって謝罪の意思を示したが、黒田の怒りは収まらず、主審が間に割って入るまで3歩、4歩と前に出た。その光景に両軍ベンチから選手が飛び出し、乱闘寸前の騒動が展開された。

「藤浪くんがバントをさせたくない気持ちはわかるが……」

 試合後の黒田は怒りの行動の背景をこう説明した。

「2球続けてきたから。年齢は関係ない。自分の体は自分で守らなければならない。あそこで僕がヘラヘラしているようでは、チームにも影響を与えてしまう」

一番気にかかるのは、黒田がなぜあそこまで怒ったのか。

 この騒動を巡っては、様々な論評や様々な意見が評論家やファンの間では交わされた。

「投手に対してあれだけの厳しい内角攻めに黒田が怒るのは当然だ」

「黒田の怒りは当然だとしても、別に当たってもいないのだから藤浪は帽子をとって謝る必要はないのではないか」

 様々な意見が出たが、一番気にかかったのは、黒田がなんであそこまで怒ったのかということだった。

 そしてその答えはその後の黒田の「男気エール」と言われたコメントを読んで、見えてきたような気がしたのである。

【次ページ】 投手として、内角を攻めるときの絶対の鉄則とは。

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