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竜の新星・亀澤恭平は「ポスト川崎宗則」。
~育成出身が果たした黒田討ち~ 

text by

石田雄太

石田雄太Yuta Ishida

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photograph byNIKKAN SPORTS

posted2015/04/22 10:00

竜の新星・亀澤恭平は「ポスト川崎宗則」。~育成出身が果たした黒田討ち~<Number Web> photograph by NIKKAN SPORTS

プロ初スタメンの阪神戦で9回に4安打目を放つ亀澤。同僚の又吉克樹は大学の2年後輩。

 亀が「野獣のように」と言ってのけた。昨秋の入団発表でのことだ。

「野獣のような走塁を見てほしい」

 このセリフを聞いて、2年前のある出来事を思い出した。外野守備のスペシャリスト、ホークスの城所龍磨が育成契約のチームメイトを食事の席に連れてきたことがあったのだ。そのとき、城所は彼のことをこんなふうに話していた。

「コイツは本当によく練習するんです。すごいですよ、亀みたいに毎日、コツコツと……プレースタイルは亀とは正反対の野獣みたいなヤツですけど(笑)」

 運動能力の高い城所先輩の言葉に、照れ臭そうにはにかむ姿は野獣とはかけ離れていた。それが今年の開幕早々、ドラゴンズのセカンドを守る亀澤恭平だった。

 当時、ホークスと育成契約を交わしていた亀澤は、二軍でセカンド、サード、ショートをそつなくこなし、確実に犠打を決め、亀とは対極の獰猛な走塁で盗塁を稼ぐ、ユーティリティのプレイヤーだった。亀澤はこう言っていた。

「このチームで支配下登録されるのは難しいと思いますけど、僕は絶対に諦めません。今までも諦めなかったからこそ、次の舞台に立てたと思ってるんです」

ホークスからドラゴンズに移り、チャンスを生かした。

 甲子園とは無縁の作陽高から新興の環太平洋大に進み、四国ILの香川を経て4年前、育成ドラフトでホークスに指名された。育成選手は3年で支配下登録されなければ育成選手保留者名簿から外れる。昨秋、丸3年が経過した亀澤に対して育成での再契約を提示したホークスだったが、ドラゴンズが支配下登録も視野に秋季キャンプへの参加を打診。亀澤はそのチャンスに喰らいついたのだ。

 ドラゴンズで開幕一軍を勝ち取った亀澤は、初スタメンとなった3月29日のタイガース戦でいきなり4安打。4月1日のジャイアンツ戦では大竹寛から先制タイムリーを打って初のお立ち台に立つと、4月4日のカープ戦でも黒田博樹の初球、インハイのカットボールを振り切って、内野の頭を越える貴重なタイムリーヒットを放った。亀澤はこう言った。

「どん詰まりでしたけど、初球から行けと思って、思いっ切り振りました」

 亀澤のプレーを見ていると、川崎宗則を思い出す。日本球界に久々に現れた熱く激しく、ひたむきな野球小僧が、今のドラゴンズに新風を吹き込んでいる。

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