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ジョッキーを守るためにSNS規制の検討を。
~ルメールのツイッター騒動に思う~ 

text by

片山良三

片山良三Ryozo Katayama

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photograph byKYODO/Bunshun

posted2015/04/05 10:00

ジョッキーを守るためにSNS規制の検討を。~ルメールのツイッター騒動に思う~<Number Web> photograph by KYODO/Bunshun

ルメールのツイッターアカウント。パリ・サンジェルマン(サッカー)に関するつぶやきも。

 外国人初のJRA騎手免許を取得したクリストフ・ルメール騎手(栗東・フリー)が、注目のデビューとなるはずの3月1日の阪神競馬前日に、聡明な彼らしくないボーンヘッド。調整ルームに携帯電話を持ち込み、ツイッターを使用するという競馬施行規程違反を犯してしまったのだ。裁定は1カ月の騎乗停止処分。フランス人のルメールには厳し過ぎるのでは? という意見もあったが、日本のルールに違反したのだから罰せられるのは当然。この翌週に調教をつけるために栗東トレセンを訪れたルメールは神妙な面持ちで、「どんな顔をしてここに来ればいいのかわからなかった。本当にごめんなさい」と反省しきりだった。

 レース前日から騎手を調整ルームに缶詰にして外部との接触を断つシステムを実行しているのは、競馬先進国の中で日本だけ。馬券が絡む特異なスポーツだけに「李下に冠を正さず」の故事にならうべきという考え方だ。それでも、騎手会の地道な折衝が徐々にJRAに受け入れられてきていて、前日の正午に入室しなければいけないルールから、いまでは前日の21時までと緩和されている。問題がないことをジョッキー自身の行動で証明して、最終的には調整ルーム制度自体を考え直してもらおうというのが騎手会、長年の努力目標なのだ。

SNSは騎手界自身の手で規制すべき存在かもしれない。

 ルメールと同じ時期に大井競馬の御神本訓史騎手も騎乗停止処分を受けたが、これはあまりにも次元が低過ぎて論評に値しない。虚偽の申告をして調整ルームに外部人物を複数回連れ込んでいたというもの。しかも、レース外の素行不良で騎乗停止処分を受けるのはこれで5度目になる。馬を上手に操ることができても、社会人としての常識がなければファンの尊敬を集めるアスリートとはなりえない。地方競馬全国協会の免許試験委員会が来年度の騎手免許更新を不合格としたのは至極妥当な判断だった。

 しかし、ルメールほどの紳士がその陥穽に落ちたSNSについては、騎手会自身の手で規制を検討すべき厄介な存在なのかもしれない。文の推敲を深めるより、スピードが重宝されるツイッターは、特に間違いを起こしやすい性格を持つ。悪意の第三者が騎手になりすまして「つぶやく」ケースもあるというのだから、自己防衛の意味でも自重が求められている。

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