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V8戦に臨む山中慎介が、「似ている」ボクサーとは?
~強烈な負けん気の強さは……~ 

text by

前田衷

前田衷Makoto Maeda

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posted2015/04/01 10:00

V8戦に臨む山中慎介が、「似ている」ボクサーとは?~強烈な負けん気の強さは……~<Number Web> photograph by KYODO

 男子の試合としては、日本のリングで今年最初の世界タイトル戦となる。4月16日、大阪で行なわれるWBCバンタム級戦で、山中慎介が8度目の防衛戦のリングに立つ。相手はアルゼンチンから招くディエゴ・サンティリャン。山中同様、負け知らずの選手だが、今や山中といえば「ゴッド・レフト」。ファンもKO勝ちを期待せざるを得ない。

 最近の山中の強さは、国際ボクシング殿堂入りを果たした具志堅用高さんの全盛期を思わせる。同じサウスポーのハード・ヒッターで、左拳に必殺の威力を持つなど、2人には共通点がある。

 前々から山中のボクシングに注目していたという具志堅さんも、かつての自分と似たものを感じていたのだろう。最近、世界王者が一堂に会す場で山中に向かって「アフロにしてみたら」と勧めていた。山中はニヤッと笑うだけだったというが、ボクシングスタイルが似ていることについては満更でもないのだろう。

 2人の共通点については、山中をもっとも近くで見ている帝拳ジムの大和心トレーナーがこう語っていた。

「山中のキラー・インスティンクトは、昔の具志堅さんに通じるものがありますね。彼らのファイトを見ていると、見ているこちらがゾクゾクしてきます」

優れたボクサーが持っていなければならない資質。

 キラー・インスティンクトとは「負けん気」や「情け容赦のなさ」を意味する、優れたボクサーが持っていなければならないとされる資質のひとつである。なるほど、今は温和な具志堅さんも、現役時代は相手が倒れても構わずにパンチを出し続けることで有名だった。反則行為だが、本能に支配された本人には自覚がないのだ。

 山中にも、思い当たる節がある。前回のスリヤン戦ではダウンを奪った後、ニュートラルコーナーで待機すべきところを、これに従わず、倒れた相手に近づこうとして主審から再三注意を受けた。

「山中は相手が立ち上がるのを待っていられなくて、スルスルと出て行って近づいてしまう。倒したくてしかたないんです」(大和トレーナー)

 キラー・インスティンクトが弱まると、ボクサーとしてはもう末期に入るが、32歳のチャンピオンにはそんな兆候はまるでない。山中の強さの核となる部分は、このあたりにあるのかもしれない。

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