SCORE CARDBACK NUMBER

合同テストで王者の風格。メルセデスの“逆戦略”。
~手の内を見せなかった理由とは?~ 

text by

今宮純

今宮純Jun Imamiya

PROFILE

photograph byGetty Images

posted2015/03/11 10:00

合同テストで王者の風格。メルセデスの“逆戦略”。~手の内を見せなかった理由とは?~<Number Web> photograph by Getty Images

 タイトル防衛初挑戦の王者メルセデスは、オフの合同テストで手の内を見せなかった。ラップタイムは第1回へレスで4位、第2回バルセロナは2位。タイムにこだわらず周回数で他を大きく上回った彼らのテスト戦略は、ライバルたちを驚かせた。へレス初日から実戦さながらのピット練習とスタート手順確認をし、すぐロングランに移行。「逆プログラム」と言うべきか、通常ならテスト後半のメニューをこなした。他がニューマシンとパワーユニット(PU)のシステムチェックを続け、徐々にセッティング調整に入る姿を尻目に、王者は“冬のPP”を狙いもせず余裕を感じさせた。

 ただ、気になるのがドライバー・コンビだ。新W06の第一印象を、前年覇者のハミルトンが「シートまわりも全く同じで気に入った」と言う一方で、ロズベルグは「コクピット内のポジションが変わり背中と首を痛めた」と不満をもらした。この相違を解釈すると、新車開発において前者のリクエストがより重視され、反映されたのかもしれない。あくまで初期テスト段階の相違だが、全20戦の長丁場を争う両者の関係性が気がかりではある。

マクラーレン・ホンダが抱える2つの緊急課題。

 へレスで1、2位のタイムを記録したフェラーリはPUの改善と、コーナー速度アップからSF15-Tの空力性能向上が見てとれた。だが、バルセロナでトラブルが多発、レース距離をカバーできず。そのバルセロナでPUをメルセデスに変更したロータスがトップ3回。約1秒上がるスーパーソフト・タイヤを履いたのは“スポンサー・プレゼン”か。財政難の中小チームには、こうした戦略もある。

 個人的に最注目はレッドブルとトロロッソ。この2チーム供給で身軽になったルノーは昨年からPU開発に集中し、着々と成果を確認。リカルドが好タイムを刻み、レース距離もしっかり走破。若い2人を起用するトロロッソが別バージョンを試し、共同戦線で臨む。

 一方、アロンソの事故など苦難に直面したマクラーレン・ホンダの緊急課題は2つ。PUの基本設計を見直し、序盤は回生パワーを抑え信頼性確保を優先。開幕までに2段階の空力アップデートを急がねばなるまい。唯一の光明は、彼らがオーストラリアGPを得手にしていること。昨季はベストの2、3位。あとは2人の“匠ドライビング”に任せよう――。

関連コラム

関連キーワード
メルセデスAMG
ルイス・ハミルトン
ニコ・ロズベルグ
マクラーレン・ホンダ

ページトップ