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来日ボクサーでは近年最強。リゴンドウを見逃すな。
~五輪で二度の金、キューバの怪物~ 

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前田衷

前田衷Makoto Maeda

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photograph bySumio Yamada

posted2014/12/28 10:30

来日ボクサーでは近年最強。リゴンドウを見逃すな。~五輪で二度の金、キューバの怪物~<Number Web> photograph by Sumio Yamada

 年末の世界戦ラッシュで関西のトリを飾るのが、ギジェルモ・リゴンドウ―天笠尚の世界スーパーバンタム級戦だ。キューバの統一王者の来日は、フアンの間でも評判になっている。

 この試合、勝負の面白さは保証できない。アッという間に終わって「ミスマッチ」の烙印が押されるかもしれないからだ。挑戦者の天笠が自ら「99%勝てない」と言うほどである。それでも、リゴンドウを生で見ることができるという点で、勝敗を超越した興味があるカードである。

 日本で行われる世界タイトル戦のほとんどは、まず有望なホープがいて、世界の獲れそうな王座、勝てそうなチャンピオンを見つけて交渉し実現させる。しかし今回は、はじめに大物王者の来日を決めてから、対戦する日本人挑戦者を探すという極めてレアなケースだ。予定された井岡一翔の試合が無冠戦に変更となったため、視聴率を意識したテレビ局(TBS)の主導でこんなカードが成立した。

挑戦者・天笠は“1%の勝機”をどこに見出すのか?

 リゴンドウは近年日本のリングに上がった世界王者の中でもピカ一の大物。キューバは昔から強豪の育つ土壌があったが、カストロ革命以降社会主義国になると、旧ソ連の科学的ボクシングがブレンドされ、たちまちアマチュアの世界王者量産国になった。リゴンドウは五輪で2度金メダリストに輝いた逸材だが、3連覇のステベンソン、サボンがいては目立たない。2度目の亡命を成功させ、'09年に米国でプロ転向。以来、7戦目で世界王座を奪取。'13年にはノニト・ドネアとの大物対決も制し、今やPFP(パウンド・フォー・パウンド)ランキングにランクされるほど評価が高い。

 リゴンドウは14勝9KOと、KO率も高いものの、大物にしては米国のテレビ局に受けが悪い。勝ちに徹する戦法が時に消極的すぎるとの批判もある。

 挑戦を持ちかけられた天笠は3日間悩んで「やる」と決断したが、元来がフェザー級で日本と東洋太平洋王座を獲得した好素材。敢えてスーパーバンタム級に落として挑むが、前述のようにまともにやっては勝ち目がないと覚悟している。勝機の1%の根拠は、「油断してくれることを期待して」。そのためには「効いたふりもありかな」とまで言う。負けても批判されることはないだろう天笠としては、開き直って挑むしかあるまい。

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