詳説日本野球研究BACK NUMBER
10年後にしか分からないことがある。
'04年ドラフト、ダルビッシュの教訓。
posted2014/12/26 10:50
text by
小関順二Junji Koseki
photograph by
NIKKAN SPORTS
2013年ドラフトが終わったあと、「10年後にしかわからないことがある。'03年ドラフトの成否を、今振り返る」という企画で10年前のドラフトを検証したことがある。最も印象的だったのは'94~'03年、'04~'13年までの「前10年」と「後10年」をくらべることで、劇的な変化を遂げた日本ハムと阪神の方向性の違いが浮き彫りになったことだ。
方向性の違いとは、ドラフトで指名する新人選手は「大学生、社会人の即戦力候補」か「育成を要する高校生か」という究極の是非論である。
前者から後者に変化した日本ハムの方向性を'03年と'13年の比較時は“是”としたが、それは私の好みを反映したもので、簡単にこっちがいいとは結論づけられない。ただ、'02年から模索していた日本ハムの高校生路線が、'04年のダルビッシュの成功によって盤石になったことは間違いない。
まず'04年の成功選手の顔ぶれを紹介しよう。成功選手の基準は、投手は50勝(1セーブは0.5勝)、300試合登板、野手は500安打、1000試合出場だ(ともに日米合算)。
<投手> 以下※印は高校卒
※ダルビッシュ有(東北高→日本ハム1巡→レンジャーズ) 132勝63敗
※涌井秀章(横浜高→西武1巡→ロッテ) 93勝85敗37セーブ
金子千尋(トヨタ自動車→オリックス自由枠) 90勝48敗
久保康友(松下電器→ロッテ自由枠→阪神→DeNA) 80勝69敗
能見篤史(大阪ガス→阪神自由枠) 73勝57敗
中田賢一(北九州市立大→中日2巡→ソフトバンク) 72勝58敗
マイケル中村(前ブルージェイズ→日本ハム4巡→巨人→西武) 14勝 9敗104セーブ
松岡健一(九州東海大→ヤクルト自由枠) 27勝23敗、349試合
<野手>
片岡治大(東京ガス→西武3巡→巨人) 1071安打、打率.269
田中浩康(早稲田大→ヤクルト自由枠) 945安打、打率.274
※石川雄洋(横浜高→横浜6巡) 773安打、打率.263
藤田一也(近畿大→横浜4巡→楽天) 632安打、打率.272
大松尚逸(東海大→ロッテ5巡) 618安打、打率.250
亀井善行(中央大→巨人4巡) 535安打、打率.254