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ウインターミーティングでドジャースが大型トレード。
~野球ビジネスと球団の競争原理~ 

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四竈衛

四竈衛Mamoru Shikama

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photograph byYukihito Taguchi

posted2014/12/25 10:00

ウインターミーティングでドジャースが大型トレード。~野球ビジネスと球団の競争原理~<Number Web> photograph by Yukihito Taguchi

パドレスに移籍したケンプは、9年間で打率2割9分2厘、182本塁打、170盗塁と大活躍。

 近年まれに見るダイナミックな動きだった。米球界関係者が一堂に会するウインターミーティングがカリフォルニア州サンディエゴで行われ、4日間で12件のトレードが成立し、計79選手が新天地へ移籍した。米国メディア内では、マダックス、ボンズら大物選手が移籍した'92年以来となる「歴史的なミーティング」と表現されたほどで、水面下で各球団が激しい駆け引き、折衝を繰り広げた結果だった。

 とりわけドジャースの戦略は、大胆だった。主砲マット・ケンプ、ディー・ゴードンら計12選手を放出。代わりにジミー・ロリンズ、ハウイー・ケンドリックのベテラン二遊間を獲得するなど、打線全体の改造に成功した。大型トレード成立直後、米国西部時間11日午前0時過ぎから記者会見に臨んだアンドリュー・フリードマン編成担当取締役は、深夜まで続いた折衝の疲れも見せず、にこやかな笑みを浮かべた。

「確かにすばらしい選手達を出した。しかし、我々はチーム全体を動かして、より良いチームになったと思う」

「情」を挟んでは、移籍市場で遅れを取りかねない。

 米球界のトレードには、各球団の様々な思惑が含まれる。シーズン中、7月末のトレード期限直前の場合などは、プレーオフまでの戦力補充や次のシーズン以降へ向けた世代交代の意味合いが強い。その一方で、オフ期間の場合、補強だけでなく、年俸総額を削減し、バランスを取ろうとするケースも少なくない。ドジャースの場合、100億円以上の複数年契約を残すケンプのような高額選手を放出し、チームに必要なポジジョンを埋めた。そこに日本人的な「情」を挟む感覚はなく、極めてドライで、ビジネスライクに交渉は進む。契約によってトレード拒否権を持つ大物選手こそいるものの、米国内の選手にとって、移籍は「野球ビジネスの一部」。放出に伴うマイナスイメージは少ない。

 さらに、国内外の100人を超えるFA(フリーエージェント)選手を調査し、開幕直前まで折衝が繰り返される。その間、各球団のトレードやFA選手の契約次第で市場の均衡が変動するため、「情」を挟んでいては遅れを取りかねない。

 約200人前後の選手が動くオフシーズン。球界全体が常に活性化される源に、球団間の「競争原理」は欠かせない。

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