オリンピックへの道BACK NUMBER
全てを可能にする圧倒的な自信。
体操・白井健三が追う内村の背中。
posted2014/10/02 16:30
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph by
AFLO
中国男子に敗れ続けてきた日本体操界では、スペシャリストの重要性が認識され、養成が叫ばれてきた。
その中で現れた新星が、白井健三である。高校3年生ながら、世界大会の金メダリストであり、日本代表の中で重要な役割を担う存在でもある。
白井は、中学時代から注目を集める存在だった。3年生のときには全日本種目別選手権のゆかで2位に入っている。
その名が広く知れわたったのが、昨年だ。
全日本種目別選手権のゆかで、内村航平、加藤凌平らは欠場していたものの、高難度の技を決めて優勝する。
日本男子史上最年少となる17歳でベルギーでの世界選手権代表に選ばれると、種目別のゆかと跳馬で新技を成功させる。ゆかの決勝では16.000点をマークし、金メダルを獲得した。
それはオリンピック、世界選手権を通じて日本で最年少の金メダリストの誕生でもあったが、それ以上にゆかでの「後方伸身宙返り4回ひねり」をはじめとするひねり技の凄みが、国内のみならず、世界の体操界に衝撃を与えた。
個人総合も大幅に順位を上げ、苦手種目を克服。
「2020年の東京五輪の顔」とも称されるほど、大きな注目を集める存在になった白井は、今シーズンも着実に成長を見せている。
個人総合で争われる5月の全日本選手権の予選では昨年の53位から20位へと成績をあげ、初めて決勝に進出し16位。苦手としてきたあん馬とつり輪でともに大幅に得点を向上させるなど、6種目全般に力をつけていることを示した。
6月のNHK杯にも初めて出場し15位。つり輪でミスが出るなどしたが、ゆかではただ1人、16点台をマーク。存在感を示した。