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同郷の辰吉に続け! “つっぱり”和氣慎吾。
~雑草魂と「華」が備わる27歳~
 

text by

前田衷

前田衷Makoto Maeda

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photograph byBOXING BEAT

posted2014/08/03 10:30

同郷の辰吉に続け! “つっぱり”和氣慎吾。~雑草魂と「華」が備わる27歳~<Number Web> photograph by BOXING BEAT

 岡山出身のリングのヒーローと言えば、まず“浪速のジョー”辰吉丈一郎と、ロンドン五輪銅メダルの清水聡が思い浮かぶが、これに続く逸材としていま注目されるのが和氣(わけ)慎吾だ。リーゼントヘアーのつっぱりキャラで売り出し、試合内容でも評価をアップさせつつある。

 27歳の誕生日と重なった7月21日、郷里岡山市での東洋太平洋スーパーバンタム級王座防衛戦。長身サウスポーは、韓国からやってきた挑戦者李ジェーソンにやや手こずらされた。それでも9回に得意の左ストレートを決め挑戦者をリング外に叩き出すと、勝機を逃さず、次の回に猛攻してレフェリー・ストップ勝ちした。これで4度の防衛戦すべて規定回内で片付けた。「気持ちの強い相手でキツい試合だった。でもすんなり勝ってたら、世界挑戦で苦労するでしょうから」と、苦戦を前向きに捉えるのが和氣流だ。

 尊敬する人として名を挙げたのはやはり辰吉。「あのカリスマ性は凄い。見る人を魅了する戦い方をリスペクトしています」と語るが、和氣自身にも似た魅力がある。筆者の周囲にも、和氣の人柄に好感を持って応援しているという医師グループがいるほどだ。売り物のスピードはボクシングだけでなく、舌の回転も滑らか。だが下品ではなく、ファンが期待したくなる「華」が備わっている。

ボクサーとしての資質は辰吉より努力の鬼塚に近い。

 戦績「17勝10KO4敗2分」が示すように決してエリートではない。アマチュア歴も僅かで、高3でインターハイに出場したものの1回戦敗退。しかし、この敗退を見て「プロでやらないか」と誘ったのが古口ジム会長の古口哲だった。アマで61連勝の快記録を作った名選手は、偶然目にした和氣を「磨かれざるダイヤ」とみた。協栄ジムで鬼塚勝也の専任トレーナーを長く務めた男の慧眼だろう。

 プロ入り後も最初は結果が出なかったが、徐々に成長。昨年3月、やはり世界が期待された東洋太平洋王者の小國以載にアウェイの神戸で挑み、10回TKO勝ち。番狂わせと言われたこの勝利で一気に「ホープ中のホープ」に躍り出た。

 ファンは弱い相手を選んで世界を目指す選手には厳しいが、強豪を倒して成り上がる選手には惜しみない拍手を送る。

「すぐにも世界挑戦したい」という和氣。ボクサーとしての資質は、天才辰吉より、努力の人・鬼塚に近いのかもしれない。

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