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村田諒太の前途を阻む、カザフスタンの実力者。
~ミドル級最強の敵・ゴロフキン~ 

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前田衷

前田衷Makoto Maeda

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posted2014/09/04 10:00

村田諒太の前途を阻む、カザフスタンの実力者。~ミドル級最強の敵・ゴロフキン~<Number Web> photograph by BOXING BEAT

7月にニューヨークで行われた11度目の防衛戦では、強豪ゲールを3回TKOで一蹴した。

 以前この欄で、村田諒太の将来性についてこう書いた。「これほどの才能・環境に恵まれていてなお、『世界王者になれる』と断言できないのは、ミドル級の王者たちが桁外れに強いからだ」と。

 現在そのミドル級王者の中でも最強と目されるのは、WBAの「スーパー王者」に格上げされたゲンナジー・ゴロフキンである。カザフスタン生まれの32歳、これまでに残した数字だけでもその強さの一端は窺える。プロ転向後30戦全勝、27KO。'10年のWBA世界王座獲得以来、11度の防衛戦をすべてKO、TKOで挑戦者を撃退。この中には淵上誠と石田順裕の2人の日本選手も含まれる。

 特に石田は守りの堅さに定評があったが、昨年3月モンテカルロでゴロフキンに挑んだ3回、アゴが割れるかと思えるような右フックを直撃され痛烈KO負け。初めての惨敗に「自分の想像を超える強さで、クリンチもできなかった。パンチの強さ以上に、メチャうまかった」と脱帽したものだった。

 村田も7月に米国でゴロフキンのキャンプに合流し、練習方法も含めて大いに影響を受けた。スパーリングで手合せし、「(試合用の)10オンスのグローブでやったら、今の自分の技術では倒されるかも」と正直に感想を語っている。

アマ350戦345勝の男はプロ入り後さらにパワーアップ。

 突然変異的にこんなスーパーマンが現れたのではない。中央アジアの旧ソ連の国々はどこもボクシングが盛んだが、カザフスタンは今や世界トップのロシアとキューバに並ぶ強国だ。ゴロフキンは10歳でボクシングを始め、アマチュアで350戦345勝5敗(公称)。五輪は村田の2大会前(アテネ)の銀メダリストだが、世界選手権で優勝したこともある。

 旧ソ連圏のボクシングに詳しい本(もと)博国さん(日連理事)はアマ時代のゴロフキンをよく知る。「若さと勢いで勝っていたアマ時代と違い、経験を重ねた今はパワーも増してさらに強くなった」という。

 ただの倒し屋ではない。緻密で理詰めのボクシングは、村田や石田が絶賛している通り。PFP(パウンド・フォー・パウンド)ランキングの評価が低いのは、選者の多くが米国での試合経験の少ないゴロフキンをまだよく知らないからだ。最新の試合で不倒のダニエル・ゲールを3回で粉砕したのを機に、今後ランクを上げていくに違いない。

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