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アメリカ中で賑わう、ジーターの「引退興行」。
~地方球団はビジネスチャンス?~ 

text by

四竈衛

四竈衛Mamoru Shikama

PROFILE

photograph byYukihito Taguchi

posted2014/06/24 10:00

アストロズのセレモニーでは、テキサスらしく特製カウボーイブーツとハットが贈られた。

アストロズのセレモニーでは、テキサスらしく特製カウボーイブーツとハットが贈られた。

 今季限りでの現役引退を表明しているヤンキースの主将、デレク・ジーターが、開幕以来、各地でファンに別れを告げている。ア・リーグ東地区以外の試合では、ヤンキースが敵地に遠征するのは各球団でシーズン1度だけ。抜群の人気、球界への貢献度もあり、遠征先では相手球団主催の惜別セレモニーが行なわれている。毎打席でスタンディングオベーションがわき起こり、6月13日のアスレチックス戦では、大差が付いた9回表、彼に代打が送られると、敵地スタンドからブーイングが起こった。

「敵のチームなのに、多くのファンの声援には本当に感謝しているよ」

 各地で「ご当地」にちなんだ記念品を受け取るジーター自身は、いつもと変わらず、クールな言動に終始する。だが、その背景に、「引退興行」として、ビジネス的な要素があることも否定できない。

昨年ケガに泣いたジーターがフルシーズン戦えるのか?

 6月9日のロイヤルズ戦が降雨中止となった際には、ジーターへのセレモニー開催を考慮したうえで、代替日を8月25日に決定した。地方球団にとって、ヤンキース戦はドル箱カード。さらには事前に、「ジーター最後の試合」と銘打ち、大々的に宣伝すれば客足も伸びる。実際、通常は空席が目立つオークランドでは、全3戦でチケット完売。記念品を用意し、ジーター基金へ100万円の寄付をしたとしても、十分に採算が取れる裏事情もある。

 あとは昨季、相次ぐ故障で17試合しか出場できなかったジーターが、シーズン最後まで万全の状態でプレーできるか、どうか。ジラルディ監督は、「彼に体調を聞くと、常に“feel good(いい感じだ)”としか答えない」と苦笑するが、チームの戦略上、本来は笑ってもいられない。特に、守備面の衰えは否定できず、5月上旬には打率2割5分を切ったこともあり、2番からの打順降格が話題に上る時期もあった。もっとも、6月10日から4試合連続でマルチ安打を記録するなど、復調の気配は見せ始めている。

「まだ100試合ぐらい残っているし、我々のゴールは試合に勝つこと。感傷的になることはないよ」

 全米が惜しむジーターのラストイヤーを、世界一で飾れるか。いかにハッピーエンド好きの米国とはいえ、勝負の世界はおそらく、そこまで寛容ではない。

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