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最激戦区で世界を狙う村田諒太の多彩な“武器”。
~プロ4戦目KO劇を生んだ探究心~ 

text by

前田衷

前田衷Makoto Maeda

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photograph byBOXING BEAT

posted2014/06/17 10:00

最激戦区で世界を狙う村田諒太の多彩な“武器”。~プロ4戦目KO劇を生んだ探究心~<Number Web> photograph by BOXING BEAT

 ミドル級金メダリストからプロ転向した村田諒太が、「自分のボクシングの原点」という京都のリングでメキシコのヘスス・アンヘル・ネリオを6回に倒し、KO勝ちをマークした。

「(観客に)少しフラストレーションを与えてしまった」と本人も反省したように、倒しにくい相手という前評判のネリオに会心のヒットを決められず、判定までもつれそうな展開だった。それでも積極的に攻め続け、最後は得意の右ストレートを多用する猛攻でネリオの戦意を削ぎ、KOに繋げたのは村田らしい。

 これで4戦全KO勝ち。マッチメークを担当する帝拳ジムの本田明彦プロモーターによると、早ければ来年中にも世界王座に挑戦する計画があるという。

 最近「村田は世界チャンピオンになれるか?」といった質問をよく受ける。確かに資質的には恵まれている。182cm、73kgの均整のとれた肉体。五輪でも発揮したフィジカルの強さと拳に秘めたパワー。自ら「性格は生粋のファイター」という旺盛な闘争心……そのどれをとっても従来の日本の重量級ボクサーにないものだが、これに加えて、「ボクシング頭脳」にも舌を巻く。

関心は一流選手のコーチの練習にまで向いていた。

 今やインターネットで古今の名選手の試合映像を見るボクサーも珍しくないが、村田の場合はそれだけに留まらない。一流選手の傍に付き添うコンディショニング・コーチがどんな練習をさせているかにまで関心が働く。マニアックなまでの探究心、これも村田の“武器”のひとつだ。さらにはキューバ人の名指導者イスマエル・サラスをコーチに迎えるなど、サポート面も整っている。

 これほどの才能・環境に恵まれていてなお、「世界王者になれる」と断言できないのは、ミドル級の王者たちが桁外れに強いからだ。プロ転向に際し、村田自身もゴロフキンやクィリンら超一流王者の名をあげ、その強さを認めている。

 その上で「だからといって、将来も絶対に勝てないとは思っていない」とも語っていた。徐々にプロに慣れてきたが、まだまだ成長途上。今後世界レベルの肉体とこれを制御する頭脳とがより一体化し、ボクシングの精度を上げていければ、世界の頂点を極めることは不可能ではないだろう。村田にとって挑みがいのある冒険であることは間違いない。

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