MLB東奔西走BACK NUMBER
ブレーブスがたった20年で球場移転?
スポーツビジネスと地方行政の蜜月。
text by
菊地慶剛Yoshitaka Kikuchi
photograph byGetty Images
posted2014/06/16 10:30
ブレーブスの本拠地、「ターナー・フィールド」。かつて、1996年アトランタオリンピックのメイン競技場として利用された、アトランタの象徴的なスタジアムでもある。
ブレーブスが新球場へ移転する理由。
シーズン | 観客動員数 | リーグ内順位 |
1997 | 346万4488人 | 2位 |
1998 | 336万0860人 | 2位 |
1999 | 328万4897人 | 2位 |
2000 | 323万4304人 | 4位 |
2001 | 282万3530人 | 6位 |
2002 | 260万3484人 | 8位 |
2003 | 240万1084人 | 7位 |
2004 | 232万7565人 | 10位 |
2005 | 252万1167人 | 10位 |
2006 | 255万524人 | 9位 |
2007 | 274万5207人 | 10位 |
2008 | 253万2834人 | 10位 |
2009 | 237万3631人 | 10位 |
2010 | 251万119人 | 9位 |
2011 | 237万2940人 | 8位 |
2012 | 242万171人 | 8位 |
2013 | 254万8679人 | 8位 |
これはターナー・フィールド開業以来、2013年までの年間観客動員数を表にしたものだ。
元々ブレーブスはスター選手を揃えたメジャー屈指の人気球団だった。
しかも1991年から2005年まで(ストライキのあった1994年は除く)14年連続プレーオフ進出を果たす強豪チームであったにも関わらず、その実力とは裏腹に2000年を最後に、観客動員数はナ・リーグでも下位に低迷している。
2010年以降も4年間で3回もプレーオフ進出しているのに、一向に動員数が上昇していない。
渋滞、治安など、足を運びづらい現在の球場。
この辺りの事情について、ブレーブスの地元メディアにいろいろ話を聞いてみた。
「そもそもターナー・フィールドの周辺はアトランタでも低所得者層が住む地域で、球場に足を運ぶファンはこの辺りに住んでいない。しかも、球場周辺は決して治安がいいとは言えない。
さらに球場までの交通アクセスが整っているわけではなく(公共機関は地下鉄があるが、最寄りの駅が遠く球場までのシャトルバスを使用するしかない)、球場周辺のフリーウェイは慢性的な渋滞が続いており、ファンが車で球場に来るのも大変な状態に陥っていた。
今回の新球場建設は、ブレーブスにとってファンが球場に足を運びやすい環境を整えることが目的だった」
その言葉通り、新球場はアトランタ市内ではなく、市の北西に位置するアトランタのベッドタウンともいうべきコブ郡(アトランタがあるのはフルトン郡)に建設されることになっている。まさに球場に観戦に訪れていたファンのお膝元に球場を持っていこうとしているわけだ。