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ザンビア戦は“敗戦に近い”逆転勝利。
本田、吉田、ザック……漂う危機感。
posted2014/06/07 14:00
text by
矢内由美子Yumiko Yanai
photograph by
Getty Images
米国最後の夜はW杯グループリーグ初戦のコートジボワール戦に大きな不安を残すものとなってしまった。
6月6日、“仮想コートジボワール”ザンビアと対戦したザックジャパンは、コスタリカ戦に続いて立ち上がりに先制点を奪われる苦しい展開。打ち合いの末に4-3の逆転勝利を収め、昨年11月のベルギー戦から続く連勝を5に伸ばしたものの、守備の課題が改めて浮き彫りになる内容にチームの誰もが危機感を見せた。
得点しても、勝利しても……笑顔を見せない本田。
西日の残るレイモンド・ジェームススタジアムには7275人の観衆がいた。スタンドではため息と歓声が交互に響いていたが、ピッチに流れる空気は最後まで完全に晴れることはなかった。
2点を追う前半40分、PKを決めて1点を返した本田圭佑は険しい顔を寸分も変えなかった。後半30分に、一時は勝ち越しゴールにもなった3点目を決めたが、それでも表情は変わらない。4-3で勝利を収めた終了時もしかり。
喜ばない本田の姿がすべてを物語っていた。
世界ランク76位のザンビアから、ザックジャパンは冷水を浴びせられたのだ。
「テストできる最後の場」。アルベルト・ザッケローニがそう言っていたこの試合の日本代表先発メンバーは、右膝に不安の残る長谷部誠を除けば、好成績を残した昨年11月のオランダ戦、ベルギー戦に近い布陣。GKにはオランダ戦以来5試合ぶりとなる西川周作が入っていた。
課題だった試合序盤戦での失点、再び。
キックオフ。
立ち上がりは互いに様子を見ながらも、手足が長く、思いのほか運動量もあったザンビアに対し日本はチーム全体が戸惑いを見せていた。本田には19番のシンカラがマンマークで付いており、中央エリアへのパスは厳しく監視されていた。
すると、9分。ザンビアはゴール前でのボール回しから、サイドを変えて右へ展開。右からのクロスをニアのマユカにワンタッチでつながれ、ファーサイドでワンバンドしたところをC・カトンゴに頭で押し込まれた。ゴール前の人数は足りている状態。しかし、バイタルエリアでパスをつながれ、ラインが下がってしまっていた。