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平成生まれの力士たちは、
新旧交代を進められるか?
~角界の起爆剤、舛ノ山と高安~ 

text by

服部祐兒

服部祐兒Yuji Hattori

PROFILE

photograph byKYODO

posted2011/01/13 06:00

昨年の秋場所後、昇進祝いのケーキを手に、満面の笑みを見せた十両の高安。両脇は両親

昨年の秋場所後、昇進祝いのケーキを手に、満面の笑みを見せた十両の高安。両脇は両親

 常軌を逸した数々の不祥事が表面化し、その屋台骨までもが大きく揺らいだ昨年の大相撲界。自らに猛省を促し、外部の力も借りて、ようやく時代に合った運営や指導体制が施行され始めている。朝青龍や琴光喜ら看板力士の抜けた穴を、必死で埋め続けた横綱白鵬。再生への地固めを整えた大相撲が、真の力強い歩みを取り戻せるか。平成23年の土俵は、正念場である。

 白鵬が、再び連勝街道を走るのか。連覇は何場所まで伸びるのか。白鵬の年齢と充実振りをみると、新しき相撲界の標語にも成りつつある「われ未だ白鵬たりえず」と言われる独走状態は、当分続くだろう。その中で、私が大きな期待を寄せるのが白鵬の次の世代の主役たち、平成生まれの力士たちの台頭である。

旺盛なハングリー精神で十両同時昇進を果たした舛ノ山と高安。

 昨年九州場所、相撲界待望の平成生まれの関取が2人誕生した。舛ノ山と高安である。停滞気味だった土俵の閉塞感を突き破るには、鮮度抜群の若者の力に頼らざるを得ない。稀勢の里や栃煌山らに託した新旧交代が遅々として進まぬ今、更なるホープの登場は、彼らにとっても大きな発奮材料になるだろう。自らの躍進に加え、その相乗効果も相まって、相撲界に活性化の大波を起こしてもらいたい。

 舛ノ山と高安は、ともに父親が日本人で、母親がフィリピン人だ。2人は旺盛なハングリー精神で猛稽古に励み、十両同時昇進を果たしたが、支え続けてくれる家族の存在こそがパワーの源になっていた。舛ノ山は残念ながら負け越したが、高安は11勝を挙げ番付を押し上げ、初場所に入幕一番乗りを懸ける。

チャップリンの顔をあしらった化粧回しに込めた思い。

 高安は身長187cm、150kg。さほど大きな体ではないが、真正面からの気骨溢れる敢闘相撲が魅力。師匠の鳴戸親方は「噴火中の火山のよう。三役、その上も狙える」と、将来性に太鼓判を押す。九州場所、その化粧回しが目を引いた。デザインは、繊細な刺繍で描かれた喜劇王チャップリンの顔。師匠はそのデザインに「チャップリンの映画は、多くの感動を与えてくれる。強さに優しさ。勇気を奮い起こしてくれる。高安にもそんな力を持ってもらいたい」との思いを込めた。師匠の気持ちを身に纏い、若者らしく伸び伸びと羽ばたいて貰いたい。

 新旧交代の起爆剤。平成生まれの力士たちよ、奮起せよ。

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