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野球界にも指導者ライセンスが必要?
このままでは野球少年がいなくなる! 

text by

氏原英明

氏原英明Hideaki Ujihara

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photograph byHideki Sugiyama

posted2014/01/29 16:30

野球界にも指導者ライセンスが必要?このままでは野球少年がいなくなる!<Number Web> photograph by Hideki Sugiyama

日本全国で、今日も多くの野球少年が練習に励んでいる。彼らの能力が最大限に伸ばされる指導が行なわれてほしい。

 先日、僭越ながらリトルリーグ関西連盟の指導者講習会で、講師役を務めさせていただいた。

 未来を担う小学生を指導する監督や関係者約150人を前に、昨今問題になっている野球界の難題や指導に関する疑問を訴えさせてもらった。

 その講演の最後に質疑応答の時間があったのだが、そこで、非常に興味深い意見を頂戴した。

「サッカーには指導者ライセンスがあって、野球界には指導者ライセンスがない。個人的にはあるべきだと思っていますが、(あなたは)あるべきだと思いますか?」

 この質問を聞いたとき、アマチュアの野球界にも、指導に関して疑問を抱いている人がいるのだなと改めて確認をした思いだった。

 なぜこのような話題をとりあげたのかというと、先日元プロ野球選手に対して、学生野球資格回復に関する認定者の公示がされたからだ。これは一言で言えば、プロ野球の球団に所属したものが、高校や大学の指導をすることに関しての資格を与えるものだ。

 過去は、数年の教員経験が必要などの厳しい条件が課されていたが、プロ・アマ交流緩和策の一つとして、このほど、制度が改められたのである。

208人の認定者数は、野球界の停滞を意味していた。

 学生野球協会のHPにてその面々を確認してみたが、なかなかの顔ぶれである。JX-ENEOSの監督を務める大久保秀昭氏(元近鉄)や天理大の監督・中村良二氏(元阪神)など、すでにアマチュア野球に精通する元プロ野球選手だけでなく元ロッテの小宮山悟など意外な名前もあり、認定者208人という数字にも、正直に驚いた。

 これだけの認定者数は、野球界がいかに進歩を止めていたか再確認するものだった。

 ただこの制度で少し疑問なのは、元プロが学生野球の指導資格を得るためには、この研修を受けなければいけないのに、そうでない指導者は講習や勉強を義務付けられているわけではない、という点だ。

 つまり今回の制度は、「野球の指導」というコーチングの考え方自体が考慮されているわけではなく、責任の所在を明確にする「制度」としての意味合いが強いと受け取ることができる。

【次ページ】 サッカー界の「ライセンス制度」は野球では?

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小宮山悟

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