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「これからは人間性を磨いて欲しい」
バレンティンに宮本が残した言葉。 

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中村計

中村計Kei Nakamura

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posted2014/01/30 10:40

「これからは人間性を磨いて欲しい」バレンティンに宮本が残した言葉。<Number Web> photograph by KYODO

保釈となり、無事チームに合流後に謝罪会見を行なったバレンティン。この事件は2014年シーズンのプレーに吉とでるか凶とでるか。

 技術的な成長について言及する人は、ほぼいなかった。

 来日3年目となった昨年、バレンティンがシーズン60本塁打の日本記録をマークし、その理由を取材して回っていたときのことだ。

 それが不可解でならなかったのだが、今回、バレンティンが起こした事件の報道を見聞きし、少なからず合点がいった。

 バレンティンが60本打つことができた理由――。それをごくごく簡単に言うと、ボールが飛ぶようになり、以前よりも打席の中での集中力が増した、ということだ。

 容易にホームランが打てるようになり、イライラさせられることが減ったのだ。ボールを待てるようになった、という指摘はあったが、それもあくまでメンタル的な変化があってこその副産物のようだった。

 1年目、2年目と31本ずつ打ち本塁打王のタイトルを獲得したが、昨年のように1年間、緊張感を維持できていたならば、もっと打てただろうというのが大方の見方だった。

 チームメイトの相川亮二も60本という数字にさほど驚いてはいなかった。

「2年連続ホームラン王ですから、そのすごさは、もうわかっていた。だから、集中したらどれだけ打つんだろうなと思っていたのが、この数字だったということじゃないですか」

バレンティンの教育係をかってでた宮本と相川。

 そもそもバレンティンといえば、打つには打つが、ふた言目には、凡退すると一塁まで全力疾走しない、やる気のないスイングをする、といった怠慢プレーが指摘された。そういう性格だけに、好不調の波が激しく、いいときはいいが、悪いときはじつにあっさりと凡退した。

 そんなバレンティンの教育係をかってでていたのが、昨年限りで引退を発表した宮本慎也であり、相川だった。

 宮本はバレンティンが56号の日本新記録を打ち立てたときも、バレンティンを讃えながら、一方でこう付け加えることを忘れなかった。

「先に記録を作っちゃったから、これからは人間性を磨いて欲しいですね。外国人選手なので、ある程度わがままにやるのはしょうがないんでしょうけど、打って走るのは当たり前のこと。来年からはホームランを打つ以外のこともしっかりやってほしい」

 バレンティンのことを誰よりも気にかけ、「ちゃんとやったらラミレス以上のバッターになる」と潜在能力を認めていた宮本だからこそ言える言葉だ。

【次ページ】 宮本が厳しい長兄だとすれば、相川は優しい次兄。

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