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減俸問題に一石を投じた、
ブライアントの契約延長。
~NBA最高年俸選手のプライド~ 

text by

宮地陽子

宮地陽子Yoko Miyaji

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photograph byGetty Images

posted2013/12/12 06:00

減俸問題に一石を投じた、ブライアントの契約延長。~NBA最高年俸選手のプライド~<Number Web> photograph by Getty Images

 コービー・ブライアントは昔から、物分りのいい選手でも、周りに流される選手でもなかった。自分が選んだ道を歩み、思ったことを口にしてきた。先日、ロサンゼルス・レイカーズと2年間の契約延長で合意した時もそうだった。

 契約交渉自体はスムーズだった。今後の補強計画とともに金額を提示されて一発で受諾、ブライアントいわく「交渉ですらなかった」という。2年4850万ドルという金額は今季と比べると減額だが、それでもまだNBA最高年俸。アキレス腱断裂した35歳、しかも試合復帰前の選手への契約としては高いと見る人もいるだろうが、世界的な人気選手のブライアントはレイカーズの象徴的な存在だけに「引退までレイカーズで」というチーム側の気持ちの表れだった。ブライアントも「レイカーズのためなら何でもやろうという気になる」と感謝した。

選手たちに犠牲を強いるオーナーとリーグへの皮肉。

 数年前までなら、これはスター選手とチームの間に築かれた信頼と忠誠心の「いい話」で終わったのかもしれない。しかしサラリーキャップに加えてラグジャリータックスが導入された現在のNBAは、もう少しややこしい世界になってしまった。一人の選手が高額サラリーを貰うと戦力を揃えにくくなるという現実があり、そのため、本気で優勝したければチームのことを考えてサラリーを大幅に減額して当然という“風潮”が生まれた。実際、同年代のティム・ダンカンやケビン・ガーネットは1000万ドル前後の減俸を受け入れており、“僅か600万ドル程度”の減俸だったブライアントに対して「優勝したいと言っていた言葉は嘘だったのか」と批判が出ているのだ。

 ブライアントはそんな批判や風潮に対して、「減俸しなかったら勝ちたいと思っていないなんて、まったくくだらない」と反論した。自分がチームに恵まれたことに感謝しながら、選手たちに犠牲を強いる他チームのオーナーたちや、リーグの制度に矛先を向けた。

「多くの選手は減俸を受け入れざるをえない状況に追い込まれている。その一方で“無私の選手”のおかげでチームの価値がうなぎ上りだ。馬鹿げた話だ」

 厳しい目が向けられることを承知の上で言いたいことを言うブライアントの歯切れの良さは、物分りのいい選手が増えた中で、新鮮で痛快に聞こえるのだった。

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