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最下位候補から一転、
J2長崎、大躍進の理由。
~昇格プレーオフでもサプライズを~ 

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浅田真樹

浅田真樹Masaki Asada

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photograph byKyodo News

posted2013/11/29 06:00

最下位候補から一転、J2長崎、大躍進の理由。~昇格プレーオフでもサプライズを~<Number Web> photograph by Kyodo News

2009年のJリーグ準加盟から4年。今季から就任した高木琢也監督の下、J1昇格を目指す。

 今季のJ2も、いよいよJ1昇格プレーオフを残すのみ。優勝のG大阪と2位の神戸がJ1昇格を早々に決めたが、残る1枠を巡り、プレーオフ進出争いは熾烈を極めた。

 そんなデッドヒートを盛り上げ、今季のJ2に大きなサプライズをもたらしたのが長崎である。

 JFLから昇格1年目の長崎は今季、率直に言って有力な最下位候補。同じ立場にいた昨季の町田が、1シーズンでJFLに逆戻りしたこともあり、長崎が同じ轍を踏むと見る向きは多かった。

 ところが、常に上位争いを続けた長崎は、J2残留どころか、J1昇格さえも視野に入れるほどの大躍進。リーグ戦を6位でフィニッシュし、堂々プレーオフ進出を果たした。

 意外な伏兵の快進撃を支えていたのは、豊富な運動量を生かしたアグレッシブなサッカーである。チーム全体が常にコンパクトな陣形を保ち、攻守両面において複数の選手がボールに関わり続けるスタイルは、さながらブンデスリーガの強豪、ドルトムントを思わせた。

生命線は「死ぬほどキツい」練習で培ったハイプレス。

「技術的に劣っていても、チーム一丸で戦えればいいサッカーができる」

 DF岡本拓也は謙虚にそう語っていたが、3-4-3のコンパクトな陣形は、見た目にも「一丸」と化していた。

 土台にあるのは、FW幸野志有人が「死ぬほどキツい」と苦笑いを浮かべる普段の練習。「雰囲気に緊張感があって、精神的にも鍛えられる」と金髪の背番号14は話す。なるほど、これだけ果敢な姿勢をシーズン通して貫くには、相応の裏付けがあったわけだ。

 第40節の千葉戦では、プレーオフ争いのライバルを相手に運動量で圧倒。「勝因は(相手に)プレッシャーをかけ続けたこと」とは高木琢也監督の弁だが、長崎の出足鋭いディフェンスが、完全に千葉から自由を奪っていた。幸野が「ボールを失っても、すぐに4人くらいで奪い返しに行けた」と振り返り、「このチームが相手だったら、自分も嫌だなと思う」と自画自賛する快勝である。

 望外の躍進を遂げた長崎が、どんな形で今季の最後を迎えるのかは分からない。だとしても、結果ばかりでなく、彼らの見せたサッカーが称賛に値するものだったことも記しておきたいと思う。

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