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海外サッカーコラム
話をするときは饒舌なモウリーニョだが、カメラの前では思いのほかシャイな一面を見せた。
photograph by Tomoki Momozono
サッカーの尻尾

「シンジ、マドリーに来ないか?」
モウリーニョが香川を誘った日。

豊福晋 = 文

text by Shin Toyofuku

photograph by Tomoki Momozono

「カガワの苦境も一時的なものだよ」

 色んな話をした。

 スティーブ・ジョブズとリーダー論。チェルシーに戻ってきて、まずはじめにフランク・ランパードに伝えたこと。TwitterとFacebookの功罪。信仰と宗教というデリケートなテーマ。それらについて、モウリーニョは真剣に、丸々一時間話し続けた。

 2年前の香川にも、きっと彼は考えていることだけを真っすぐに伝えたのだろう。

 モウリーニョの誘いを断り移籍したマンチェスター・ユナイテッドで、香川はまだ本来の力を出し切れていない。そんな現状について、奇しくも今季同じプレミアリーグで戦うことになったモウリーニョは温かい見方をしていた。

「たしかに今、カガワのプレー時間は限られているかもしれない。ただ、それは彼だけの責任じゃない。クラブにはモイーズという新監督がやってきて、いま新たなチームを作っている段階だ。ベースを作っている時期なんだ。チーム自体も苦しんでいる。カガワの苦境も一時的なものだよ」

 かつて自らが望んだ選手だからなのか、その言葉には優しさすら感じられた。

来年1月、プレミアのピッチで2人は再会する。

 サッカーに「たられば」は禁物だ。それでも思い描いてしまう。

 あのとき、香川がモウリーニョの誘いに首を縦にふっていたら――。

 今頃、彼は白いユニフォームを着てサンティアゴ・ベルナベウに立っていたかもしれない。ロナウドの隣を、スペイン人の喝采を浴びながら駆けていたかもしれない。

 いつかバルセロナでプレーするという夢を香川が描いていたというのは有名な話だ。しかしそのバルサを規模で上回る、世界最大のサッカークラブが彼を求め、接触していたのである。スペインでのプレーは、手の届くところまできていたのだ。

 モウリーニョと香川。かつて将来について言葉を交わしたふたりはいま、それぞれの場所で戦っている。来年1月、彼らがプレミアリーグのピッチ上で再び相まみえる日が、今から楽しみになってきた。

動画 : モウリーニョが明かした「香川真司がレアルを断った理由」
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