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規格外の18歳、梶村祐介が
体現する日本ラグビーの進歩。
~超高校級CTB、代表合宿に参加~ 

text by

大友信彦

大友信彦Nobuhiko Otomo

PROFILE

photograph byNobuhiko Otomo

posted2013/10/26 08:00

走り込みながらのパスの技術と筋肉質な体は、往年の名CTB元木由記雄を彷彿とさせる。

走り込みながらのパスの技術と筋肉質な体は、往年の名CTB元木由記雄を彷彿とさせる。

「前は、オールブラックスって遠い存在だと思っていた。でも今のジャパンは、『オールブラックスに勝つぞ』と、選手もスタッフも全員が本気で取り組んでいる。その中で自分も、少しでもチームにプラスになりたい」

 10月6~8日に行なわれたラグビー日本代表候補のミニ強化合宿。9月15~17日の合宿に続き、練習選手ながら最年少で招集された梶村祐介は、2度目の合宿を終え、表情を引き締めて話した。

 報徳学園高校3年。9月に18歳になったばかりとは思えない、落ち着いた風貌。伊丹市の白ゆり幼稚園で4歳からラグビーを始めたCTB。中2まではFWで、中3からはBKでプレー。8月のU19アジア選手権で、180cm86kgの高校生離れした肉体と巧みなランニングスキルがエディ・ジョーンズ日本代表ヘッドコーチの目に留まったのだが……規格外なのは外見だけではなかった。

過酷なメニューに取り組み、不出来を本気で悔しがる。

 9月の合宿では「何回かは少ないチャンスをモノにして自分の得意なプレーを出せた」と言い切った。逆に10月の合宿では、「コンタクトプレーでいろいろなことを考えて、思い切り走り込めなかった」と唇を噛んだ。エディ・ジャパンのミニ合宿は、早朝のウエートトレーニングからフルコンタクトの実戦まで、1日4度のセッションを重ねるタフな集中合宿だ。73キャップの大野均をはじめ、ウェールズ撃破を達成した日本のトップ選手に課される苛酷なメニューに18歳が一緒に取り組んだ上に、不出来を本気で悔しがる。聞いていて嬉しくなった。

 11月2日のオールブラックス戦勝利を目指すチームの熱と努力を、次代を担う才能が肌で感じる。それは途轍もない糧になるだろう。そして全国の18歳を熱くし、日本中の高校生を燃えさせるはずだ。高校時代はまったく無印ながら、東海大2年で練習選手として招集された石井魁も、同様に大学生を刺激しているはずだ。

 事実、昨年最年少キャップ記録を作った藤田慶和は、先輩たちとの実戦猛練習といくつかの蹉跌、NZでの武者修行を経て「未来のホープ」から、20歳にしてジャパンに欠かせぬピースへと進化した。

「前は2019年しか意識してなかったけど、'15年のW杯も狙えるなら狙いたい」

 18歳の梶村がそう口にしたことが、日本ラグビーの進歩を示している。

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