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エディの“子供教室”にみる
ジャパンと世界No.1との差。
~オールブラックスの“基礎スキル”~ 

text by

大友信彦

大友信彦Nobuhiko Otomo

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photograph byNobuhiko Otomo

posted2013/11/23 08:00

エディの“子供教室”にみるジャパンと世界No.1との差。~オールブラックスの“基礎スキル”~<Number Web> photograph by Nobuhiko Otomo

国内では「ハンズアップ」と呼ばれる捕球の基本。基礎の徹底が、世界レベルへの近道だ。

「アーリーキャッチ!」

 今年8月、宮城県の陸上自衛隊船岡駐屯地で開催された東北小学生ラグビー交流大会「第2回ともだちカップ」で、特別講師を務めてくれたエディ・ジョーンズ日本代表ヘッドコーチが、繰り返し口にしていた言葉だ。

「パスは腕を伸ばして前で捕る。早く捕ると判断に余裕ができる」

 それから始まった練習では、小学生たちの捕球が少しでも遅れると「ピッ」と笛が鳴り「アーリーキャッチじゃない! 交代!」の声が飛ぶ。最初は戸惑い気味だった少年少女も、テンポよく進むドリルにすぐに慣れ、目を輝かせてキャッチングに集中していた。

 そんな、夏の場面を思い出したのは、11月2日に日本代表とオールブラックスのテストマッチを見て、翌3日に大学ラグビー対抗戦の2試合をたて続けに見たからだ。オールブラックスの選手たちは全員が、ほぼすべての場面で当然のようにアーリーキャッチをしていた。しかし日本の大学生は、決して捕りにくいパスではなくともついつい腕を畳んで胸で捕球したり、身体の前を通り過ぎる頃にボールを掴んだりしてしまう。

NZの育成は、パスひとつでも細部をチェックしつくす。

 それだけではない。オールブラックスの選手は、相手キックを捕るときも必ず前に出ながら捕る。「捕球すなわちカウンターアタックへの第1歩」という意識が根付いているのだ。

 NZでは、ユース年代からの育成プログラムが徹底されている。身に付けるべき技術も、パスひとつとっても『指を広げ、手をパスのくる方向に掲げて捕球する』『身体の前を横切るように腕を振る』『ヒップラインをフラットに保つ』などの基本動作が細かくリスト化されている。漠然とした「パスが上手い」ではなく、細部まで具体的にチェックするマニュアルができあがっているのだ。

「個人スキルの差につきる」

 オールブラックス戦後、日本代表FB五郎丸歩はそう言った。世界王者との戦いに、フィジカルを鍛え上げ、戦術を磨き上げて臨んだ日本代表は、スコアでは大敗したが、列強との差を縮めたことを証明した。しかし、その先への進歩を求めるなら、ユースからの一貫した指導体系、基礎技術向上が必要。黒い軍団は、そんな真理を改めて教えてくれた。

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