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王国帰りのトライハンター、
山田章仁が迎えた“開幕”。
~NZ仕込みの激しさを発揮せよ~ 

text by

大友信彦

大友信彦Nobuhiko Otomo

PROFILE

photograph byNobuhiko Otomo

posted2013/09/30 06:01

キヤノン戦はノートライと不発に終わった山田。日本代表ウイングの定位置争いにも挑む。

キヤノン戦はノートライと不発に終わった山田。日本代表ウイングの定位置争いにも挑む。

「最後の方は、ちょっと焦ってしまいましたね……」

 9月7日、ようやく秋の気配が訪れた東京・秩父宮ラグビー場で、山田章仁は小さく唇を噛んだ。トップリーグ開幕第2節。その夜、3季ぶりの王座奪回を目指すパナソニックは、昇格2年目のキヤノンに18対23で思わぬ苦杯を嘗めたのだ。

 キヤノンは初戦で、昨季2位の東芝に8対10と肉薄する戦いを演じていたが、「あまり相手のことを考えすぎないで、普通に試合に入っていったんですが、相手も力をつけているし……そんなにネガティブには捉えていません」と山田は明るく振る舞った。それは、昨季のトップリーグトライ王が、この半年の経験で培った行動だったかもしれない。

 6月24日、日本代表が春の日程を終えるのを待って、山田はNZへ渡り、スーパーラグビーへの登竜門・ITM杯のオタゴ代表を目指した。4月に日本代表を外れた際、指揮官エディ・ジョーンズに指摘された「プレーの激しさが足りない」という課題を克服し、さらにスーパーラグビー入り、日本代表への復帰を同時に叶えるための挑戦。NZ到着5日目にはクラブの試合に出場して2トライ。NZのクラブシーズンは終盤だったが、少ないチャンスで懸命にアピールした。

藤田慶和とともにオールブラックス戦の代表候補に。

 結果的にはオタゴ代表には入れなかった。バックアップ要員として残って欲しいと言われたが、正式契約ではないため、今季は日本でのプレーを選択した。

「スーパーラグビーは全然諦めてない。近づいている実感はあるし、NZで身に付けた激しいプレーを磨いていきたい」

 もう一人、この夏NZへ渡ったのが早大の藤田慶和だ。やはりシーズン終盤とあって目標のカンタベリー代表には入れなかったが、藤田はB代表で残った。ラグビー王国の代表予備軍と負荷の高い毎日を過ごし、時には正代表の練習にも参加しながら、昇格へのアピールを続ける。

 理想の結果や評価が得られなくても、明日はやってくる。だから足を前に運び続ける――。ラグビー王国でタフな時間を過ごし、どんな逆境でも挫けなかった2人のトライハンターは、11月のオールブラックス戦に向けた日本代表候補リスト入りした。同じWTBのポジションを争う2人は、今度は日本で、王国の精鋭と戦うチャンスを掴めるだろうか。

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