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万能な女子たち。
~世界水泳、3人のマルチスイマー~ 

text by

小川勝

小川勝Masaru Ogawa

PROFILE

photograph byGetty Images

posted2013/09/13 06:00

万能な女子たち。~世界水泳、3人のマルチスイマー~<Number Web> photograph by Getty Images

ベルモンテ・ガルシアは現在22歳で、昨年のロンドン五輪でも6種目にエントリーし、200mバタフライと800m自由形で銀メダルを獲得している。

 今年の世界水泳選手権は、日本にとって瀬戸大也の400m個人メドレー金メダルという快挙で幕を閉じたが、大会を通して、日本の水泳界に新しい可能性を示したのは萩野公介だった。個人6種目、リレー1種目の合計7種目で銀メダル2個、5位4種目、7位1種目。今年の世界ランキング1位だった400m個人メドレーで5位に終わったのは残念だったが、8日間で全17レースを泳ぎ、日本記録1種目、自己ベスト1種目は評価してよい成績だろう。

 しかし世界を見渡してみると、今大会で、マルチスイマーを目指したのは萩野だけではなかった。ロンドン五輪を最後にマイケル・フェルプス(米国)が引退した現在、本格的なマルチスイマーは男子よりむしろ女子に目立っていることが、分かってきた。日本ではあまり報道されなかったが、そのレベルとタフネスは、実に驚くばかりだった。

 注目選手は3人いた。メリッサ・フランクリン(米国)、カティンカ・ホッスー(ハンガリー)、そして今回、開催国の選手として大会を盛り上げたミレイア・ベルモンテ・ガルシア(スペイン)だ。

 フランクリンはロンドン五輪でも4冠に輝いた18歳、185cmという大型選手だ。100m背泳ぎでは寺川綾のライバル。今回の世界水泳でも背泳ぎは100m、200mとも金メダル。加えて、ロンドン五輪で4位に終わった200m自由形と400m自由形リレーでも金メダルを獲得して6冠に輝いた。6冠というのは世界大会ではフェルプスの'08年北京五輪8冠、マーク・スピッツ(米国)の'72年ミュンヘン五輪7冠に次ぐ記録。女子選手としては、クリスティン・オットー(東独)の'88年ソウル五輪6冠と並ぶ金メダル数だ。

18歳のフランクリンはロンドン五輪で4つの金メダルを獲得!

●2013年世界水泳で注目されたマルチスイマー
選手名
(国)年齢
種目 タイム 順位
メリッサ・フランクリン
(米国)  18歳
100背 58秒42
200背 2分4秒76
100自 53秒47 4位
200自 1分54秒81
400自R 3分32秒31
800自R 7分45秒14
400MR 3分53秒23
カティンカ・ホッスー
(ハンガリー)  24歳
200背 2分9秒08 6位
200自 1分56秒80 準決9位
200バ 2分5秒59
200個M 2分7秒92
400個M 4分30秒41
ミレイア・ベルモンテ・ガルシア
(スペイン)  22歳
400自 4分6秒76 予選9位
800自 8分21秒99 5位
1500自 15分58秒83 4位
200バ 2分4秒78
200個M 2分9秒45
400個M 4分31秒21
800自R 7分53秒20 5位
※M=メドレー、R=リレー。

 別表に示した通り、今回は100m自由形でも4位になっていて、3位との差はわずか0秒05、もう少しで7個目のメダルが獲れるところだった。表に示した種目以外にも、50m背泳ぎの予選(準決勝以降は棄権)も泳いでいるため、8日間で16レースと、萩野より1レース少ないだけだった。

 フランクリンは両親がともにカナダ人。父親はアメリカンフットボールのカナダリーグでプレーしていたプロ選手だったが、引退後は経営学修士号を取ってビジネスマンに転身、米国で仕事をしている中でフランクリンが生まれた。母親は内科医だ。

 カナダと米国の二重国籍を持っているため、カナダ代表になることもできた。両親はカナダ代表を勧めたそうだが、本人は生まれた国で代表になることを選んだという。結果的に、米国代表としてリレー3種目での金メダルも可能になった。まだ18歳だが、ロンドン五輪ではすでに4個の金メダルを獲得。今後は、フェルプスが保持している五輪通算最多金メダル(18個)にも挑戦することになるだろう。

【次ページ】 今年急成長したホッスーと、中長距離に強いガルシア。

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