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瀬戸大也を「金」へ導いた、
2人のライバルの存在。
~萩野、山口との切磋琢磨を刺激に~ 

text by

伊藤華英

伊藤華英Hanae Ito

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posted2013/08/24 08:00

瀬戸大也を「金」へ導いた、2人のライバルの存在。~萩野、山口との切磋琢磨を刺激に~<Number Web> photograph by AFLO

日本人として初めて個人メドレー世界王者に。「やっぱり五輪で」とリオへの決意を誓った。

 瀬戸大也が、バルセロナで行なわれた水泳の世界選手権、400m個人メドレーで金メダルを掴んだ。会場に響き渡る国歌。ロンドン五輪では競泳陣は戦後最多のメダル数だったものの、金メダルだけがなく、国歌が流れることはなかった。あるコーチは五輪の後、「金があるとないでは世界からの評価が変わる」と語っていた。国際大会での金の影響力は計り知れない。瀬戸の金メダルは、リオへの大いなる成果と言えるだろう。

 瀬戸は昨年4月のロンドンの選考会で萩野公介、堀畑裕也に次いで3位となり、五輪切符を逃して涙を流した。そんな経験を積んだ瀬戸は今大会で強さを見せた。200m個人メドレーに出場すると、準決勝でベストタイムを出し7位入賞。800mフリーリレーでは、出場レースの多い萩野の代わりに予選でアンカーを務めた。

 初めての世界水泳であれば、緊張から気負ってしまうことも多い。だが瀬戸は選考会で自分のレースができなかった反省を生かし、謙虚なレース運びを実践。個人、チーム種目の双方でしっかり泳げたことも自信になっていた。

ライバルがいれば、自身の弱みと強みが客観的に見えるようになる。

 瀬戸には同世代のライバルが2人存在する。同じ種目を得意とする萩野や、平泳ぎの山口観弘が近くにいたことが、間違いなく刺激になり活力にもなっている。萩野は初めての五輪で銅メダルを勝ち取り、今大会でも2つのメダルを獲得。山口は世界記録保持者だ。瀬戸は優勝後のインタビューで「自分も輝きたかった」と語った。間近でライバルの活躍を見て、悔しい思いを噛み締めていたからこその言葉だと感じた。

 私はロンドン後に引退したが、現役時代は寺川綾をはじめ多くのライバルがいたからこそ、自然と上を目指すことが出来た。ライバルの発言や、競技への取り組みにも刺激を受けた。自分に何が不足し、何が長けているかが客観的に見えることも多かった。現在の日本競泳陣の強さの秘密は、相手を認め切磋琢磨できるところだと思う。ただし、選手同士が真剣でなければこのシステムは機能しない。

 彼らの世代はまさにゴールデンエイジ。リオまであと3年。新たなロールモデルとして、きっと“かっこよく”成長していくだろう。彼らがこれまでのアスリートの枠を越える国際的なエリートスイマーになってくれることを期待したい。

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