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松山ら「成功体験のゴルフ」が席巻。
再構築とリスクで揺れる中堅の悩み。 

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桂川洋一

桂川洋一Yoichi Katsuragawa

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photograph byKyodo News

posted2013/09/12 10:30

松山ら「成功体験のゴルフ」が席巻。再構築とリスクで揺れる中堅の悩み。<Number Web> photograph by Kyodo News

フジサンケイクラシックでは通算9アンダーで並んだ松山英樹、谷原秀人、S.J.パクとのプレーオフに。18番でのプレーオフ2ホール目でバーディとした松山が今季3勝目を挙げた。谷原の2位Tは今季最高位。

 フジサンケイクラシック最終日。富士桜カントリー倶楽部で行われた戦いは、プロ3勝目を飾ったスーパールーキーの勝負強さに酔いしれる展開となった。そして、その松山英樹にプレーオフで敗れた34歳の谷原秀人は「難易度の高いショットを…。あれだけの精度、ヒデキはすごい」と東北福祉大の後輩を素直に讃えつつ、「このショットでは戦えない」と自らの不出来を嘆いた。

 2013年、25試合で構成された国内男子ツアーは3月に行われた2試合のアジアシリーズから始まり、13試合を終えてシーズンを折り返した。

 松山の圧倒的な力ばかりに注目が集まった前半戦。だが、開幕当初はベテラン塚田好宣が43歳にして初勝利。夏場には23歳の小平智、薗田峻輔が優勝し、若い力を感じさせた。金亨成、S.J.パクといった韓国出身選手たちの勢いは今季も健在だ。

 それゆえ目立ってしまうのが、中堅世代の日本人選手の元気の無さである。

 本来であれば、彼らは選手として脂の乗った時期であるはず。ツアーの公式ガイドブックで、シード選手(賞金ランキング以外の権利も含む)と表記されている日本人選手は61人いるが、そのうち、今シーズンを10代で迎えたのが2人、20代は14人、40代は19人。そして30代は26人と、最も多い。

成功体験から学んできた世代。

 しかし昨シーズン、30代で優勝した日本人選手はわずか2人。そして今年は松村道央が30歳の誕生日を目前にして5月の中日クラウンズを制したものの、30代の勝者はまだ一人として現れていない。

 昨年、30代で勝った2人の日本人は武藤俊憲と、小林正則。35歳の武藤は通算5勝のうち4勝は30代になってからと、近年コンスタントに好成績を残している。だがそんな彼でも「若い選手の勢いがスゴイというのが一番」と、年少者たちの力に目を見張るのである。

 武藤が指摘したのは、育った環境の違いだ。

「僕たちは、ゴルフ場の研修生から上がってきた選手が多い。僕らは失敗の上にゴルフが成り立っている。でも松山たちの世代は、いきなりツアーに飛び込んで、成功体験から多くを学んでいる。攻め方の違いも、そのひとつ」。

 男女を問わず、日本のプロテストやQT(クォリファイングトーナメント)を通過する手法として有効とされてきたのが、“いかにボギーを叩かないか”という安全策を重んじるプレースタイルである。

【次ページ】 バーディを奪いに行く若いプレースタイル。

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