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“日本一”の恋女房、
嶋基宏の明るい未来。
~田中将大と楽天を支えるリード~ 

text by

永谷脩

永谷脩Osamu Nagatani

PROFILE

photograph byNIKKAN SPORTS

posted2013/08/27 06:01

“日本一”の恋女房、嶋基宏の明るい未来。~田中将大と楽天を支えるリード~<Number Web> photograph by NIKKAN SPORTS

7月26日にサヨナラ打を放った嶋(右)を、田中も「必ずやってくれると思っていた」と称賛。

 開幕から16連勝の日本新記録を達成した楽天・田中将大に「良い女房が2人もいると良い結果が出るよね」と話しかけると、ニヤリと笑い返してきた。

 1人目は、昨年3月に入籍した(旧姓・里田)まい夫人。スポーツ選手の食事をサポートする「ジュニア・アスリートフードマイスター」の資格を持ち、田中の体調管理に一役買っている。

 もう1人は捕手、嶋基宏である。田中は今季、嶋のサインにほとんど首を振ることなく投げ続けている。'11年にも田中-嶋のコンビは18勝2敗、防御率0.998でパ・リーグの最優秀バッテリー賞を受賞しており、嶋の内角主体のリードは、メジャー帰りで今季3勝を挙げている斎藤隆や、育成上がりの宮川将といった若手にも全幅の信頼を寄せられている。

 もっとも昨年までは、入団時の監督だった野村克也の教えもあり、「外角主体、安全第一」のリードが中心だった。現監督の星野仙一はそれが物足りず、「もっと強気に内角を攻めて欲しい」とコーチ会議で嶋をやり玉に上げることもしばしばだった。

 嶋は葛藤したが、仲のいいベテランの中継ぎ投手、小山伸一郎の「全部自分一人で背負うから苦しくなるんだよ」とのひと言で気が楽になったという。これまでは打たれた後を考えるから思い切って攻めきれなかったが、内角主体のリードが苦にならなくなった。

連勝記録が途切れる危機をサヨナラ打で救うなど、打撃でも貢献。

 田中はそんな嶋の意図通りに、ストライクゾーン周辺でのボールの出し入れができるから、嶋も気持ちよく打席に立てる。田中登板時の嶋の成績は8月12日現在、67打数24安打、打率3割5分8厘(今季の打率は2割6分9厘)であり、決勝打を5度も放っている。7月26日のロッテ戦、田中の連勝が途切れる危機をサヨナラ打で救ったのも嶋だった。

 '11年4月29日、東日本大震災以来、初めてのKスタ宮城での試合後だった。選手会長として、「この時を乗り越えた向こう側には、強くなった自分と明るい未来が待っているはずです。絶対に見せましょう、東北の底力を!」と観客の前で語りかけた。「あれだけ大きなことを言っておきながら、口ばかりだと思われるのが嫌だった」と自身で当時を振り返る。

 これほど信頼のおける名脇役が支えるチームには、嶋の言葉ではないが、「明るい未来が待っている」だろう。

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